ソフトバンクグループでGoogle Appsの導入を担当した内山敏氏、諸岡みどり氏、津乗伸治氏(左から)
ソフトバンクグループでGoogle Appsの導入を担当した内山敏氏、諸岡みどり氏、津乗伸治氏(左から)
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 ソフトバンクグループの通信3社(ソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB)は2011年末までに、約2万6000人の全社員が使う社内メールシステムを米グーグルのクラウドコンピューティングサービス「Google Apps(Gmail、キーワード解説記事)」に全面移行する。日本企業が社内向けにGmailを活用する事例は他にもあるが(関連記事1関連記事2)、ソフトバンクの導入は最大規模になる。

 全社員への導入を円滑に進めるため、まず2011年2月から、営業担当者を中心とした約2000人を対象にパイロット導入している。その後、順次利用対象を拡大し、2011年10月から全社員約2万6000人の利用を開始。12月末までの3カ月間は、自社のデータセンターで運用している従来のメールシステム(米マイクロソフトのExchange Server)も並行利用できるが、2012年1月にこれを停止する。2012年9月末までには、サーバー自体も停止する方針だ。

 ソフトバンク社員は、自席のパソコンや、外出先では社員に配布されているiPhoneやiPadなどからGmailに接続して、電子メールを受信・発信できる。VPN(仮想閉域網)に接続していれば社外のパソコンからも利用できるが、自宅のパソコンなどからの接続はできない設定にし、セキュリティー水準を保っている。

コストは従来の範囲内

 ソフトバンクは1人当たり年間6000円(全社員で約1億5600万円)の利用料金を米グーグルに支払う。ソフトバンクは自前でデータセンターを保有しており、そこでメールシステムも運用していたが、これを米グーグルのデータセンターへと移すことになる。コストは「従来のコストの範囲内に収まる」(ソフトバンクテレコム情報システム本部ITサービス統括部サービスデリバリ部の諸岡みどり部長)と見ており、通信事業者ではない一般企業に比べればコスト削減効果は薄い。

 一方で、費用対効果は既存システムより高いと考えている。電子メールの保存容量制限が1人当たり1ギガバイトから25ギガバイトまで増え、使い勝手が良くなる。ソフトバンクの自社データセンターは東日本大震災では被災しなかったが、「国内で再度大地震が発生した場合でも、西日本と東日本でインターネットにつながる回線さえ生きていれば、システムの機能を維持できる」(ソフトバンクモバイル情報システム本部コミュニケーションサービス統括部サービスデリバリ部CIサービス課の津乗伸治課長)というメリットも評価した。