京都電子計算のなぜなぜ分析研修の様子
京都電子計算のなぜなぜ分析研修の様子
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 京都新聞グループでソフトウエア開発を手がける京都電子計算(京都市)は、2012年末までに、約250人いる全社員を対象に「なぜなぜ分析」の研修を実施することを決めた。既に2011年7月から研修を始めており、同年11月末までに約140人が受講した。

 他の社員についても、2012年に研修を実施することを計画中だ。これにより、約1年半で全社員がなぜなぜ分析を少なくとも一度は体験することになる。全社規模でなぜなぜ分析の習得に動く企業はまだ珍しく、トラブルの再発防止に対する同社の意気込みが感じられる。

 なぜなぜ分析とは、システムトラブルに代表されるような障害や事故、作業ミスなどの根本的な原因を探り当てるため、「なぜ」を繰り返しながら本質を見極め、再発防止策を導く手法のこと。「なぜ」を繰り返すことで生産現場などの改善につなげている。ヒューマンエラー(人的ミス)に起因するシステムトラブルがなくならないことに頭を悩ませていた京都電子計算は、2008年11月に社内に「なぜなぜ分科会」を発足させ、各部門からメンバーを選抜して独自の教育と原因究明、改善活動を続けている。

 ただ自己流の分析に限界を感じたため、2011年7月から、なぜなぜ分析に詳しい外部講師を招いて研修を開始。同年9月までに61人が受講したところ好評だったため、全社員研修に拡大することにした。

 先行して研修を受けた社員からも「なぜなぜ分析は全社員が理解しておいた方がいい」との声が出始めている。というのも、「取り上げた事象は現場側に問題があるというよりは、むしろ管理側の問題だったことに気づかされたものがあった。上流のシステム設計段階から仕様書の表現が曖昧だったため、運用の現場でトラブルが起きた例も見つかった」(北川勝彦管理室経営監理部長兼総務部長)。

 こうなると再発防止には部門の壁を越えて、お互いに情報を出し合わなければならない。そしてなぜなぜ分析を知っていることを前提にコミュニケーションが取れないと、話がスムーズには進まなくなる。「だから研修は全社員に受講させることにした」と北川部長は明かす。

 なぜなぜ分析を社内の“共通言語”にして、「トラブルの原因を聞かれた時に『忙しかったから』とか、『人手が足りなかったから』といった言い訳が出ないようにする。筋道立てて原因を追究し、再発防止に動けるようにしていきたい」(同)という。