写真1●ローソンが導入したAndroid端末。画面には接客に関する研修教材を表示
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写真2●ヒューマンリソースステーションの中村剛・人財開発部長
写真2●ヒューマンリソースステーションの中村剛・人財開発部長
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 ローソンは2011年度の新入社員を対象に、タブレット端末を使ったeラーニングによる研修を始めた。2011年4月に入社した新入社員57人全員に1台ずつ、NTTドコモのAndroidタブレット端末「GALAXY Tab」(韓国サムスン製)を配布した(写真1)。2011年9月までに、会計や加盟店契約などに関わる10件程度の入門教材をAndroid端末上で履修させた。教材はNTTドコモの携帯電話網を通じて、自動的にAndroid端末に配信される。各自の履修状況も自動的に本部に集約できる。

 2011年12月をメドに、さらに教材を拡充。新入社員研修全体をAndroid端末でこなせる体制を整える。マネジメントやマーケティングといった応用教材もAndroid端末で学べるようにするほか、店舗のアルバイト店員と一緒に使える「EQ(心の知能指数)診断」といった双方向型のコンテンツも増やしていく方針だ。

 ローソンの新入社員は原則として、全員が入社後に直営のコンビニエンスストア店舗に勤務する。販売業務をこなしながら、OJT(職場内訓練)でコンビニのオペレーションを学ぶ。これに加えて1年間に6回、2泊3日程度の日程で東京に集まり、集合研修を受ける。

集合研修の座学時間を3割削減

 2010年度までは集合研修の場で「会計の基本」「契約書の読み方」といった内容を座学で教えていた。だが2011年度から、これらをeラーニングに置き換えた。新入社員は店舗業務の合間時間を使って、Android端末で学習を進める。これによって、集合研修の座学時間を従来よりも3割程度削減した。この分の時間を新商品開発や経営課題の解決といった討議などのプログラムに充てる。

 人材育成を担当するヒューマンリソースステーションの中村剛・人財開発部長(写真2)は、「これまでもeラーニングを導入したかったが、店舗にパソコンを設置して学習してもらうのは難しかった。しかし小型で持ち運べるAndroid端末なら、自宅や休憩室のような狭いスペースでも学習を進められる」と説明する。

 今回のeラーニングシステムは、ライトワークス(東京都千代田区)の「Careership」を使って開発した。ローソンは以前から、Careeashipでオフィス勤務者向けにパソコン用のeラーニングコンテンツを約150本制作しており、今回はAndroid端末向けに約10本を移植した。端末の選定に当たっては、Adobe Flashベースで制作された既存のコンテンツを生かすため、互換性を保ちやすいAndroid端末を選んだという。