ネットワークインテグレーションのネットワンシステムズは300台のスマートフォンを社員に配布、業務に活用している。スマートフォンを業務に利用する上で課題だったのは、端末に情報を残さないこと。そこで同社は、パソコンの環境を仮想化してサーバーに集約する仮想デスクトップ環境を構築するとともに、リモートアクセス・ソフト「CACHATTO」(開発はいいじゃんネット)を導入した(図1)。

図1●テレワークを進めているネットワンシステムズ<br>この一環として、パソコンやスマートフォンにデータを残さずに済み、インターネット接続環境さえあればどこからでも業務システムやメールを利用できるように仮想デスクトップ環境の導入利用を進めている。仮想デスクトップ環境の構築にはシトリック・システムズの「XenDesktop」を利用した。現在、営業など外出先からシステムを利用するユーザーを中心に500アカウント程度を利用しているが、今年度中に1500アカウントを追加する。仮想デスクトップ環境に加え、スマートフォンからメールとスケジュールを専用アプリ経由で利用できるリモートアクセス・ソフト「CACHATTO」(開発はいいじゃんネット)も導入。こちらも現状500アカウントだが、7月末には1500アカウントを追加する。ほぼ全社員が利用できる環境が整う。
図1●テレワークを進めているネットワンシステムズ
この一環として、パソコンやスマートフォンにデータを残さずに済み、インターネット接続環境さえあればどこからでも業務システムやメールを利用できるように仮想デスクトップ環境の導入利用を進めている。仮想デスクトップ環境の構築にはシトリック・システムズの「XenDesktop」を利用した。現在、営業など外出先からシステムを利用するユーザーを中心に500アカウント程度を利用しているが、今年度中に1500アカウントを追加する。仮想デスクトップ環境に加え、スマートフォンからメールとスケジュールを専用アプリ経由で利用できるリモートアクセス・ソフト「CACHATTO」(開発はいいじゃんネット)も導入。こちらも現状500アカウントだが、7月末には1500アカウントを追加する。ほぼ全社員が利用できる環境が整う。
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 同社は、ITを活用することで時間や場所の制約を受けずに働ける「テレワーク」の環境作りを進めている。その実現のため、パソコンの環境をサーバー上に構築し、そこにパソコンやシンクライアント端末からインターネット越しにアクセスして利用する、仮想デスクトップ環境を構築した。スマートフォンを業務に利用するために導入したのも、その一環だ。

 仮想デスクトップ環境を通じて、社内の業務システムやメール、スケジューラなどを利用する。パソコンやシンクライアント端末、スマートフォンから仮想デスクトップ環境を利用している。この仮想デスクトップ環境を利用しているのは主に営業など、社外にいることの多い従業員が中心だ。今年度中には社員のほとんどが仮想デスクトップ環境を利用できるようにする。

 スマートフォンを本格的に導入したのは2010年6月ごろから。まずは30台のiPhone 3GSを導入し、仮想デスクトップ環境にインターネット越しにアクセスできるようにした。現在は、iPhoneとAndroidスマートフォンをそれぞれ約150台ずつ社員に配布して、社内業務システムやメールのチェックなどに利用している。

 仮想デスクトップ環境に加えて、スマートフォンからメールとスケジューラを利用できるよう、CACHATTOを導入した。CACHATTOは、Exchange Serverなどのグループウエアをスマートフォンや携帯電話から利用できるようにする製品。2010年12月に検証を始め、今では500ユーザーがスマートフォンからCACHATTOを利用している。2011年末には1500ユーザー分のライセンスを追加する予定だ。

 仮想デスクトップ環境からでもメールやスケジューラは利用できる。ただし、「小さなスマートフォンの画面にパソコンの画面を表示させるため、どうしても使い勝手はよくない」(システム企画 グループ基盤管理部 情報資産管理チーム エキスパートの伊藤誠一氏)。実際、スマートフォンを利用している社員からは、メールとスケジュールをもっと簡単にチェックできる手段がほしいという要望が出た。そこでメールとスケジュール管理の使い勝手を高めるためにCACHATTOを導入した。

図2●スマートフォンから仮想デスクトップにアクセスしたところ
図2●スマートフォンから仮想デスクトップにアクセスしたところ
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図3●CACHATTOを通じて表示したスケジュール
図3●CACHATTOを通じて表示したスケジュール
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 CACHATTOを採用したのは、仮想デスクトップ環境と同様に画面を端末に転送するタイプの製品で、「端末に情報を残さない仕様だった」(同氏)ためだ。同社には、セキュリティポリシーとして端末にデータを残してはいけないという規定がある。CACHATTO以外の製品も検討したが、どれもスマートフォンのWebブラウザー経由でメールやスケジューラを利用するもので、Webブラウザーなどがキャッシュとしてデータを残してしまうため、選択肢から外れたという。使い勝手の面も「当初、30ユーザーで検証した。ユーザー評価は5点満点中4点以上と高かった」(同氏)。

図4●スマートフォンの業務利用について説明する、ネットワンシステムズ システム企画 グループ基盤管理部 情報資産管理チーム エキスパートの伊藤誠一氏
図4●スマートフォンの業務利用について説明する、ネットワンシステムズ システム企画 グループ基盤管理部 情報資産管理チーム エキスパートの伊藤誠一氏
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 ただし、電話としてもスマートフォンを利用する以上、顧客の電話番号などが残ってしまう恐れがある。そこは運用でカバーするようにした。具体的には、端末ロック用に6桁以上のパスワードをかける、通話履歴は消す、電話番号を端末に登録する際には顧客名が分からないようにする--というものだ。サーバーで管理しているアドレス帳をスマートフォンで利用する仕組みや、端末の情報を消去する製品の導入も検討を進めているという。