携帯電話の基地局や固定通信のインフラ構築など通信事業者向け施設の設備建設を手がける愛知県のシーキューブは、工事の現場の状況を事務所で把握するための動画送信ツールとして利用するために、2011年2月からAndroid端末の導入を始めた。2011年5月の時点では、スマートフォンを9台、タブレット端末を2台を利用している。

 通信設備の工事の際には、現場の担当者が本社などの事務所のベテラン技術者に、配線や部品をどう扱うべきかを相談するというケースが頻繁に発生する。従来は電話で話をしていたが、どうしても現場の細かい状況までは分からない。ときにはそごが生じて工事がうまくはかどらないことも少なくなかった。

 動画で状況を見せながら話ができた方が効率アップできる。そこで、現場と事務所間で、手軽にリアルタイムに動画を送受信したいと考えた。そこで、映像配信システムを調べたが「最小構成でも導入コストが100万円と高かった。そこまで高い機能や性能は必要なく、利用したい時だけ動画が送信できればよかった」(仁敷吉則メディアネットワーキング事業本部長)。そこで、付き合いのあったシステム業者に希望する仕組みがないかと相談するとAndroidのスマートフォン/タブレット端末を勧められたという。

 Android端末上ではスタヂオ レモが開発したアプリ「Media-Ray」を動かす。端末が備えるカメラで撮影した動画を事務局のパソコンにリアルタイムに送信できるアプリだ。事務局のパソコンには、専用の受信用アプリケーションを組み込む。解像度は最大640×480ドットで、通信環境が良ければ毎秒15フレームの動画を受信できる。パソコン側は、最大で4台の端末からの動画を同時受信できるため、複数の現場を監視するときにも利用できる。Media-Rayの料金は買い切りで、端末1台につき3万円。端末のコストとアプリのコストを含めても、「十分に安価で、使い勝手においても満足できるものだった」(仁敷本部長)。

 タブレットとスマートフォンを使っているのは、形状の違いによる用途や利便性の差を検証するため。例えば、現場作業の安全チェックをする際には、スマートフォンを使わず本体サイズの大きいタブレット型のGALAXY Tabを使っている。撮影していることが作業員にも分かるため、現場の緊張感が高まり、安全に対する意識が高まる効果があるという。

工事現場で動画を撮影
工事現場で動画を撮影
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事務所のパソコンでリアルタイムに動画を受信できる
事務所のパソコンでリアルタイムに動画を受信できる
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