食品卸大手の日本アクセスは2011年夏中に、BCP(事業継続計画)の見直しを終える予定だ。東日本大震災の発生直後に、注文の急増や計画停電で同社の物流網が混乱した。その経験から、ある物流拠点が機能不全に陥っても、他の複数の物流拠点で機能を代替できるように検討を進めている。

 震災直後、日本アクセスには関東で平時の2~3倍、最大では10倍ほどの注文が殺到した。さらに計画停電の影響で、電力供給が途絶えた物流拠点があった。こうした経験を踏まえて、特定の物流拠点が機能を失ったり、処理量の限界を超えたりした場合、地方自治体などが提供するハザードマップを参照したうえで、どの物流拠点で機能を肩代わりできるのかを事前に決めておき、BCPに規定する方針である。

 日本アクセスは国内に約300カ所の物流拠点を持つ。これら全ての物流拠点について、非常時にどの物流拠点で機能を代替するのかをあらかじめ決めておけば、緊急時に慌てずに済む。「消費者の生活基盤を支える食品卸という業態上、災害発生時に商品供給を滞らせるわけにはいかない」(中井忍常務執行役員ロジスティクス管掌補佐ロジスティクス本部長)。

 BCPの見直しに合わせて、非常時に交通機関がまひした場合に、社員がどの拠点に出勤可能かもBCPに盛り込む。仮に近隣の物流拠点で機能を肩代わりできるようにBCPに規定していても、そもそも社員が出勤できないとなれば、商品の仕分け作業などがストップしてしまうためだ。BCPの見直しは、人事や総務部門を中心に進めている。