アスクルは2011年8月21日までに、東日本大震災後に乱れていた同社のサプライチェーンを完全復旧させる。震災で地震と津波による浸水被害の直撃を受けた宮城県の物流センター「仙台DMC(デマンド・マネジメント・センター)」は、同6月21日からケース品出荷を再開できるまでに復旧。さらに2カ月後の8月21日までにはマテハン設備の修繕を終え、全面稼働できる見通しになった。

 これにより、仙台DMCがもともとカバーしていた北海道や東北、北関東地域への商品配送が可能になる。震災の翌日からは他のエリアにある物流センターから同地域に遠距離の代替輸送をしていたため、配送に時間がかかっていた。仙台DMCの復活でようやく、震災前の注文当日または翌日配送体制に戻る。

 実はアスクルは震災で東京都江東区辰巳にある本社も損壊している。本社機能および、同社の名物で社屋の中心に配置していたコールセンター「辰巳お問い合わせセンター」が大きなダメージを受けた。本社社員やオペレーターは震災直後から本社社屋を離れ、オフィスを都内に分散して急場をしのいできた。

 アスクルはBCP(事業継続計画)の観点から、本社移転を決断。既に本社機能は2011年6月中旬から、同じ江東区の豊洲にある新社屋「豊洲キュービックガ-デン」に段階的に移転している。お問い合わせセンターも9月中旬までには新社屋に移る予定だ。アスクルは2011年5月期に約26億円の特別損失を計上している。

 サプライチェーンの一翼を担う仙台DMCと機能中枢の東京本社、全問い合わせの半分を受けるコールセンターが立ち直ることで、注文した商品が「明日来る」という約束を守れる体制が復活する。