オートリブが人事・給与システムを刷新し、効果を上げている。オートリブは、スウェーデンに本社を置く自動車部品メーカーの日本法人。主力商品はエアバッグやシートベルト、ステアリングホイールなどである。

 新しい人事・給与システムによって得られたメリットは大きく2つ。1つは、従業員約1600人を対象とする人事・給与業務の効率化。5つの事業所ごとに異なる人事・給与制度を統一し、新しい情報システムで統合的に運用できるようになった。

 オートリブ日本法人の設立は1987年。その後日本各地に営業拠点や製造工場を設立したり、日本国内の自動車部品メーカーを買収したりしながら事業を拡大してきた。現在国内では製造拠点を4カ所、営業拠点を3カ所持つ。

 事業拡大の経緯上、オートリブの人事部門は、5つの事業所それぞれで異なった人事・給与制度を並行運用してきた。このため、業務を効率化するうえで限界があったという。

 もう1つのメリットは、人材交流の活発化である。人事・給与制度と情報システムを一本化したため、事業所間の人事異動が容易になった。開発者の異動を促すことで、個々の拠点にとどまっていた技術ノウハウが横展開できるようになったという。これまでは人事・給与制度が拠点ごとに異なるため、人事異動が難しかった。

 人事・給与制度の統一に伴い、情報システムも刷新した。パッケージ・ソフトにはクレオマーケティングが開発・販売する「ZeeM 人事給与」を採用。2010年3月から稼働させた。

 オートリブは今後も「人」関連の仕組みの統合とシステム構築を進めていく。具体的には、各事業所ごとに異なる退職金制度の統合化や、スキルや職務経歴などといった人材情報の共有化などを推進する意向である。