2010年3月に刷新した高島屋のECサイト「高島屋オンラインモール」が着実に効果を上げている。SEO(検索エンジン最適化)対策などでページビューが2割ほど向上。刷新後2011年3月まで、ECサイト経由の売り上げが前年同月の実績を上回り続けている。

 「刷新前はオンラインストア、通販、ファッションモールのそれぞれについて別々にECサイトがあったため、サイトイメージの統一感が出しづらく、運用費も高止まりしていた」。高島屋の蔭山晃一クロスメディア事業部ネット営業部企画担当課長はこう話す。

 ECサイトが別々だったため、利用者はそれぞれのサイトで商品を購入しなければならず「使い勝手が良いとは言えなかった」(蔭山課長)。商品購入時に、決済手数料や送料が重複してかかるケースもあった。

 これらの課題を解消するため、3つのサイトを1つに統合した。SEOを手掛ける企業と連携し、よく検索されるキーワードを定期的にECサイトの文言に盛り込むなどして、検索時に上位に表示されるようにした。

 構築に当たっては、NECのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を採用し、システム運用費を半減させた。アクセス数が通常の6倍ほどに達する繁忙期でも、ECサイトはNECのクラウド基盤上で動作するため、応答速度や検索結果の遅延などは発生しないという。

 ECサイトというフロント部分だけでなく、バックエンドを担う通販システムの刷新も2011年内に予定する。同システムは商品や季節、家族構成などから販促対象となる顧客を自動で抽出する機能などを備える。販促の企画から実施までの期間をこれまでの数カ月から数日に短縮できる見込み。

 通販システムは日本ユニシスのパッケージソフトを利用して構築し、富士通エフ・アイ・ピーのデータセンターで運用する。高島屋は現在、オープン技術を採用して基幹システムの刷新を進めており、通販システムの刷新はその一環である。