製薬会社のノバルティスファーマ(東京都港区)は、医療関係者からの問い合わせに対応する「ノバルティスダイレクト」のオペレーターが、自宅で勤務できる体制を整備している。東日本大震災後に首都圏で計画停電が実行され、出社困難な社員が増えた3月中旬も、問い合わせに混乱なく対応した。

 同社は2009年1月から、週に1度テレワークで業務ができる制度を、営業部門を除く全部門に導入している。現在約1000人の社員のうち、180人が制度を利用している。開発部門が約半数を占めるが、管理部門やコールセンターにも適用している社員がいる。

 東日本大震災の影響で、2011年3月14日から18日にかけて首都圏で実施された大規模な計画停電は、多くの企業のコールセンターの業務に影響を与えた。コールセンター自体が停電の対象となったり、公共交通機関の休止などによって通勤が困難になる社員が増えたりしたため、問い合わせ対応業務の時間を短縮せざるを得なくなった。ノバルティスファーマでは、コールセンターがある東京都港区は計画停電の対象ではなかったが、公共交通機関の運休によって早退や自宅待機を余儀なくされる社員もいた。

 そこで以前からテレワークを実践していた社員を含む、複数のノバルティスダイレクトの担当者に、自宅で問い合わせ業務に当たらせた。コールセンターにかかってきた電話を担当者の自宅に転送し、自宅から商品データベースなど社内のシステムにアクセスできる環境を整備した。被災地の緊急医療などに関連した医療関係者からの問い合わせが急増していたが、通常通り午前9時から午後6時まで問い合わせに対応できた。