ポイントはここ!

●一部アプリのWeb化に伴って、アクセス回線とモデム用の携帯電話を見直し

●ハンディーターミナル内でローカルアプリとWebアプリを併用

 「宅配から“個配”へ」---。中期経営戦略でこうしたビジョンを掲げる、宅配便業界で国内最大手のヤマト運輸。家族単位ではなく個人単位のきめ細やかな配達サービスを目指している。そのために同社は2010年1月から9月にかけて、宅配業務に使う業務システムを刷新した。

 「第7次NEKOシステム」と呼ぶ新システムは、同社の宅配ビジネスを支援するシステムの7世代目。NEKOシステムは、宅配業務における荷物や顧客を管理するためのシステムであり、同社のビジネスの根幹と言っていい。

 今回の刷新は総額で約300億円を投資する大規模なもの。システム面では、新たに一部でWebアプリケーションを利用し始めた点が特徴である。このWebアプリ化によってネットワークトラフィックが増えるため、WAN、拠点内のLANともに広帯域化が必要になった。

 各拠点のWANのアクセス回線を一斉にADSLから光アクセス回線に切り替えたほか、営業拠点には新たに無線LAN環境を整えた(図1)。これに伴い、セールスドライバーや営業拠点の社員が宅配業務に使う約5万3000台のハンディーターミナルもリプレース。同時に、ドライバーが顧客との連絡用、データ通信用に使う携帯電話も変更した。

図1●ヤマト運輸の新システム(第7次NEKOシステム)<br>一部のアプリケーションをWebアプリ化した。従来のシステムはハンディーターミナルに業務データをダウンロードして15分間隔で同期する仕組みだった。データベース(DB)の大容量化が進んだこと、個人や地域ごとにカスタマイズしたサービスを目指していることなどの理由からWebアプリ化に踏み切った。それに伴って携帯電話やアクセス回線も変更している。
図1●ヤマト運輸の新システム(第7次NEKOシステム)
一部のアプリケーションをWebアプリ化した。従来のシステムはハンディーターミナルに業務データをダウンロードして15分間隔で同期する仕組みだった。データベース(DB)の大容量化が進んだこと、個人や地域ごとにカスタマイズしたサービスを目指していることなどの理由からWebアプリ化に踏み切った。それに伴って携帯電話やアクセス回線も変更している。
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