写真1●九州通医薬集団のキョ・ユウ物流管理総部高級経理
写真1●九州通医薬集団のキョ・ユウ物流管理総部高級経理
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写真2●九州通た医薬品の温度管理を徹底し顧客に届ける
写真2●九州通た医薬品の温度管理を徹底し顧客に届ける
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写真3●記録した温度データを確認する画面
写真3●記録した温度データを確認する画面
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 中国の医薬品卸売大手である九州通医薬集団(九州通)は、RFID(無線ICタグ)を使って医薬品の温度を管理し品質面での効果を出している。輸送中の温度を一定に保つようにすることで「医薬品の品質の確保につなげられる」と、九州通のキョ・ユウ物流管理総部高級経理(写真1)は強調する。

 九州通が利用する温度管理システムは、ワクチンや血液製剤など厳密な温度管理が求められる医薬品が、出荷から顧客の元に届けられるまでの間の温度データを記録するものだ(写真2)。出荷時に、医薬品が入った箱ごとに温度センサー付きのRFIDを取り付ける。RFIDは輸送中の温度データを収集。顧客の元に荷物が届いた際に、専用端末を使ってRFIDに記録した温度データを読み取り、温度分析のデータベースに登録する仕組みである(写真3)。温度管理システムはNEC製を採用した。

 九州通は、輸送中の温度管理を以前から行っていた。ただし、箱単位ではなく、保冷車単位だった。このため、「箱の置き場所によって、記録した温度が異なる可能性があった」(キョ高級経理)。また、輸送中の温度データの履歴の追跡もできなかった。この問題を、温度センサー付きのRFIDを活用することで解消。「箱単位で温度を記録し、長時間の記録を追跡できる。この記録を顧客に見せることで、温度管理を徹底していることを証明でき、輸送上のトラブルを防止できる」(同)。

 温度管理システムの活用は、競合他社との差異化にもつなげる考えだ。「他社はまだ車単位の温度管理にとどまっている。我々がRFIDを先行して使うことで競争力を向上させる」とキョ高級経理は意気込む。

 九州通は、RFIDによる温度管理システムを2009年1月に導入し、各省にある子会社12社に利用範囲を拡大。今後、入出庫時の検品作業を効率化するために、RFIDの活用を検討している。