写真1●タカラトミーロジスティクスが新設した物流拠点「市川ロジスティクスセンター」
写真1●タカラトミーロジスティクスが新設した物流拠点「市川ロジスティクスセンター」
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写真2●新しい物流システムでは作業の進捗が一目で分かる
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 タカラトミーグループの物流子会社であるタカラトミーロジスティクス(千葉県市川市)は2011年春までに新しい物流システムを全面稼働させる。システム刷新は20年ぶりだ。花王出身で物流やシステム分野のプロである松田吉康代表取締役社長がプロジェクトの陣頭指揮を執っている。

 タカラトミーロジスティクスが2010年3月に新設した物流拠点「市川ロジスティクスセンター」には大きく2つの機能がある。1つは小売店向けに他社商品も含めてピース単位で玩具を配送する「小売り物流」であり、もう1つは国内の玩具問屋向けにカートン単位で商品を出荷する「メーカー物流」である。前者の小売り物流については、一足早く2010年8月に新システムを稼働済みだ。そして2011年春までには小売り物流よりも出荷が多いメーカー物流のシステムも刷新し、全面稼働にこぎ着ける計画である。

 投資額は市川センター内に新設したソーター(仕分け機)やコンベヤーなどの物流設備と今回の新システムを合わせて、約12億円になる。新システムは日本インフォア・グローバル・ソリューションズ(東京都新宿区)の倉庫管理パッケージ・ソフトである「インフォアSCMウェアハウスマネジメント」を使って構築している。

 タカラトミーは2006年に旧タカラと旧トミーが経営統合して誕生した。合併後、物流システムは旧トミーの関連会社が自社開発したものを使っていたが、新システムはパッケージ・ソフトを採用して作り替えることにした。

先行稼働した小売り物流は処理能力を倍増

 2010年8月に稼働済みの小売り物流は、既に刷新効果が出始めている。これまで小売り物流の納品精度(小売店からの注文に対して正しく納品できた割合)は99.995%だったが、システム稼働後の2010年9月は99.997%に高まった。ピッキングや検品の精度が高まったからだ。誤配送件数でいえば、月間20件(営業日ベースで1日1件)程度に抑えられるようになっている。

 ただ、センター内は人手の作業も多いため、99.997%から先の改善は容易ではないという。「0.001ポイント改善するにも時間がかかると見ているが、2012年度中には納品精度を99.999%(ファイブナイン)まで高めたい」(松田社長)。

 玩具の需要は季節変動が非常に大きい。1日当たりの処理量の変動幅が10倍に達する年もある。だが小売り物流の新システムは、これまでのおよそ2倍に当たる1日当たり35万~45万ピース(ピッキング件数)の処理能力を誇る。2010年末のクリスマス商戦はトラブルなく無事に乗り越えられそうだ。