個人間融資仲介サービス「ソーシャルレンディングサービス(またはP2P融資サービス)」を手がけているマネオ(東京都千代田区)の妹尾賢俊代表取締役社長は、2011年末までに新規融資を月当たり8000万~1億円のペースに伸ばす事業見通しを明らかにした。2010年8月現在はおよそ月次4000万円で推移している。

 ローンが成立したときに貸し手から貸出額の1.5%を、返済時に借り手から年利1.5%相当分の手数料を徴収するのが同社の主な収入源だ。2010年8月中旬時点の融資残高は2億6000万円。2008年10月の開業当初に掲げていた「2011年末に融資残高300億円」という目標からは大幅に後退したものの( 関連記事1関連記事2 )、法人との提携による融資案件の開拓が進み「事業成長のパイプラインは出来上がりつつある」(妹尾社長)と話す。

 ここ半年間ほど力を入れているのは、フランチャイジーの開業資金のための融資案件。2010年4月に「もつなべきむら屋」を運営するKID’S(東京都千代田区)と提携したのを皮切りに、訪問医療マッサージ事業をフランチャイズ展開するLEIS(兵庫県神戸市)、介護フランチャイズ「茶話本舗」を手がける日本介護福祉グループ(東京都墨田区)、「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」を展開するエムグラントフードサービス(東京都渋谷区)などの本部と提携し、開業者の紹介を受けている。金利5~6.5%(税引き前)の条件で、早ければ貸し手募集から1~2週間で数百万円の枠が埋まる。借り入れ目的が明確なうえに、貸し手に対して20%割引の「優待カード」を発行するなど、いわゆる“株主優待”のような特典を借り手が提供していることが、貸し手から好評な理由という。

 フランチャイズ本部との提携のほか、不動産プロデュース会社アーキネット(東京都渋谷区)とは2009年11月に提携した。集合住宅を買い手が好きなように設計できる「コーポラティブハウスローン」の土地取得費用などの融資案件を扱っており、月1件のペースで手がけていく。2010年8月中旬時点のフライチャイジー関連とコーポラティブハウスローン関連を合わせた融資残高は合計7400万円で、融資残高の3割弱を占めている。

 融資残高拡大の傍らで延滞率の推移を注視し、対策を打ち出してきた。借り手の利用審査を2009年冬から厳しくしている。登録前に利用希望者の勤務先に電話をかける在籍確認を2009年9月から抜き取りで開始し、2009年冬からは全員に実施している。「2009年後半に延滞が増加し、中には詐欺が疑われる案件もあったためだ」(妹尾社長)。2009年9月末時点で、60日以上の延滞債権の発生率は5.5%だったのが、一時は6.7%まで上昇した。「借り手全員に在籍確認を行うようにし、ここ半年間の新規案件は延滞はゼロ。今後は延滞率は下がっていく」(妹尾社長)とみている。

 2010年6月に施行された改正貸金業法の総量規制以後、消費者金融などから融資を断られた主婦などからの利用希望の問い合わせも増えているという。しかし、前年度の年収や、信用情報機関への照会、在籍確認などの与信条件をクリアして登録できる借り手は利用希望者の5%程度。「1日数件のペースで個人からの問い合わせの電話が入る。NPO(特定非営利活動法人)などと協力して消費者金融から断られた個人向けのスキームを何か作れないか模索は続けていく」(妹尾社長)という。

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記事公開当初、冒頭に「国内で唯一」とありましたが、誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。 [2010/08/26 19:30]