SBI証券は2010年4月、Webブラウザ向けRIA(Rich Internet Application)プラットフォーム「Microsoft Silverlight 3」を採用した外国為替相場チャート「シルバーライトチャート」を稼働させた。同社の外貨為替保証金取引(FX)オンライン・トレード・サービス「SBI FX α」の取引サイト上で、サービス利用者向けに提供する。「取引サイトに操作性の高いチャートを導入することで、競合FXサイトとの差別化を図るのが狙い」(SBI証券 経営企画部 マーケティング課の星野陽平氏)である。

写真1●シルバーライトチャートの6画面表示
写真1●シルバーライトチャートの6画面表示
[画像のクリックで拡大表示]

 シルバーライトチャートは、為替ペアの表示をワンクリックで切り替えるほか、表示期間をマウス操作で変更する「期間スクロールバー」、6つの為替ペアを同時に表示する「6画面表示」(写真1)などの機能を備える。ワークステクノロジーが開発し、SBIグループのFX関連インフラを統括するSBIリクイディティ・マーケットがSBI証券に提供した。

 シルバーライトチャートの特徴は、画面の切り替えなどグラフィックの表示速度の早さだ。ワークステクノロジー 開発部 シニアマネージャーの篠崎氏は、「Silverlightを採用したことで、JavaとHTMLで構築したWebアプリケーションと比較して画面遷移が格段にスムーズになった」と話す。また、Silverlight採用により、チャートの初回利用時に必要なランタイムのインストール時間も半分程度に短縮された。

写真2●SBI証券 経営企画部 マーケティング課の星野陽平氏(前列左)、SBIリクイディティ・マーケット IT統括部 システムオペレーション課 副部長の中村秀博氏(前列右)、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 シニアプロダクトマネージャの朝岡絵里子氏(後列左)、ワークステクノジー 代表取締役社長の室安重治氏(後列中央)、ワークステクノジー 開発部 シニアマネージャーの篠崎公二氏(後列右)
写真2●SBI証券 経営企画部 マーケティング課の星野陽平氏(前列左)、SBIリクイディティ・マーケット IT統括部 システムオペレーション課 副部長の中村秀博氏(前列右)、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 シニアプロダクトマネージャの朝岡絵里子氏(後列左)、ワークステクノジー 代表取締役社長の室安重治氏(後列中央)、ワークステクノジー 開発部 シニアマネージャーの篠崎公二氏(後列右)
[画像のクリックで拡大表示]

 マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 シニアプロダクトマネージャの朝岡絵里子氏は、「Silverlightの採用は、アプリケーションを使う側より開発する側のメリットの方が大きい」と話す。Silverlightは、バージョン2から.NET Framework開発環境に対応した。ワークステクノロジーのように、これまで.NET環境でクライアントサーバー型のWindowsアプリケーションを開発してきた企業は、過去の資産をWebアプリケーションの開発に利用できる。

 これにより、「シルバーライトチャートの開発にあたり、チャート表示などの基本機能には既存のライブラリをそのまま使用できた。そのため、開発期間の多くをSBI証券からの要望を盛り込むカスタマイズに充てることができ、結果として高品質なシステムに仕上がった」(篠原氏)。また、「SBI証券が所有するWindows系サーバーと親和性が高いこともSilverlight採用に決め手だった」とSBIリクイディティ・マーケット システムオペレーション課 副部長の中村秀博氏は話す。