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住友林業
ITと中継拠点を活用して“邸別配送”、現場への納品回数を3分の1に削減

上木 貴博=日経ビジネス 2010/06/09 日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2009年8月号pp.94-97
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

住友林業は物流業者を組織化して全国31カ所の物流拠点を設立した。非効率だったサプライチェーンに中継拠点を設けることで、複数メーカーの資材を建築現場ごとにまとめて納品する“邸別配送”を実現。対象資材を運ぶトラックの現場入り回数は、1工事当たりで以前の3分の1となった。

 国土交通省によると、2009年4月の住宅着工戸数は前年同月比32.4%減となる6万6198戸だった。前年割れは5カ月連続で、減少率も毎月拡大している。そもそも国内住宅市場は成熟化が進んでおり、2008年は12年前に比べて半分以下の水準にまで落ち込んだ。市場縮小を見越した業務改善はここ数年、住宅メーカーの重要課題となっている。

 注文住宅大手の住友林業が特に力を入れているのは物流改革だ。同社の住宅建築ではこれまで、必要な資材を資材メーカーから直接、建築現場に運び込ませていた。だが2008年4月から、住友林業が全国各地で業務を委託した物流会社の倉庫に資材をいったん納めさせ、その物流会社が工事の進ちょくに合わせて現場に納品する「中継センター物流システム」という方式に切り替えた。

16万4000台分の配送を無くす

●ITと物流網の2本柱で物流改革に成功
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 これにより、現場に都合の良いタイミングで必要な部材がセットで届くようになり、かつ手間のかかる検品作業から現場の職人を解放できた。同システム対象の資材を運ぶトラックが現場入りする回数は1つの工事当たりで以前の約3分の1となる6~7回ほどに減らせた。2トントラックで16万4000台分の配送が無くなった計算になる。全国で物流網を作り上げるための初期投資は運営から1年で回収できた。一戸当たりの物流コスト削減効果は5万円ほどとみられる。同社は改革の成果を関係者全員で分かち合うことで積極的な協力を引き出した。現在、対象となる住宅建築の98%で中継センター物流システムが利用されている。

 中継センター物流システムを企画したのは住宅事業本部の資材物流部だ。2005年4月ごろから物流改革の方向性を模索してきた。直面していた課題は、住友林業のビジネスモデルそのものに根があった。同社の住宅はオーダーメードなので、プレハブメーカーと違って自前の工場を持たない。住宅を構成する資材は専門のメーカーがそれぞれの工場から直接現場に運ぶので物流拠点も持っていなかった。

 サプライチェーン・マネジメント(SCM)の観点で見ると中間在庫を持たない理想的なビジネスモデルといえる。しかし、「そのしわ寄せが資材メーカーと工務店に及んでいた」(資材物流部物流グループの萩平潔グループマネージャー)。

資材物流部物流グループの萩平潔マネージャー(左)と、坂直資材物流部長(中央)と宮下敬史情報システム部企画グループチームマネージャー
資材物流部物流グループの萩平潔マネージャー(左)と、坂直資材物流部長 (中央)と宮下敬史情報システム部企画グループチームマネージャー

 メーカーにとって工場や物流拠点から商品を常時2500カ所以上ある住友林業の建築現場へ個別に配送するのは大きな負担だ。しかも、進ちょく次第で変わる納品指定日に対応せねばならない。スペースが限られた現場には指定日の前日でも持ち込めないし、逆に少しでも遅れたら作業の待ち時間を生む。

 一方、工務店は雨などで工事の日程が変わるたびにすべての資材メーカーに納期変更を伝えていた。近隣への配慮からトラックの駐車スペースや資材の置き場について注意を伝える際にも全社に繰り返し言わなければならない。2005年以前は、住友林業から建築の依頼を受けた工務店が数十社に及ぶメーカーに資材を注文する際にはファクスを利用していた。しばしば部材の種類や数量、納期の伝達ミスも発生していた。

 物流改革を断行するために、住友林業は工務店と資材メーカー両方の業務体制の見直しに踏み込んでいかなければならなかった。萩平マネージャーが「どこかが泣いたら改革は長続きしない」と話すようにサプライチェーンの関係者全員が物流効率化の効果を享受できる改革を志向した。 そのためには工務店と資材メーカー、建築現場という3点を強固なネットワークでつなぐ必要がある。住友林業は2001年に稼動したSCMシステム「NACSS(ナックス)」を活用した。

●SCMシステム「NACSS」進化の歴史
●SCMシステム「NACSS」進化の歴史

 NACSSはもともと、同社と工務店間で図面をやり取りしたり、工事の進ちょく状況を確認したりすることに用いられてきた。ヘルプデスクを用意したり、各地で勉強会を重ねたりするなど、工務店や資材メーカーへの普及に3年以上をかけた。

 当初は現場からの抵抗もあったNACSSに対する評価を一変させたのが、同システムを基盤に作り上げたウェブEDI(電子データ交換)システム「楽っと」だった。2003年10月に本格稼働すると、発注書や請求書を電子データに置き換えることで年間3億円に及ぶ用紙代、印紙代の削減につながった。情報システム部企画グループの宮下敬史チームマネージャーは「現場でシステムを使う意義が認められた契機だった」と振り返る。

 2005年10月には工務店からメーカーへの注文を電子化することに成功。工程や仕様が書かれた図面から各資材メーカーへの発注情報を自動作成できるようにするなど、受発注業務の合理化を進めた。それだけではない。資材の流れをNACSS上で管理できるようにしたことで、今回の物流改革へと進展した。

 NACSSに集約された注文情報を活用したのが、新たにサプライチェーンに加わることになった物流業者だ。倉庫やトラックを持たない住友林業に代わって実際の業務を請け負う存在だ。2006年9月からまず関西と関東でメーカーからの資材を受け取り、近隣の建築現場に運ぶ中継センターを整えた。といっても業務委託先の物流業者が持つ倉庫であるため、投資はそれほど大きくない。

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