画面●レコチョクポイント
画面●レコチョクポイント
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 無料のメンバーサービス「レコチョク会員」向けのポイントシステムを稼働させた。「着うた」「着うたフル」など携帯電話向け音楽配信サービスからの楽曲ダウンロードや、CD/DVDなどの商品購入によりポイントを付与。貯めたポイントは楽曲購入などに利用できる(画面)。レコチョクの利用者1800万人のうち、既に100万人がメンバー登録している。

 「クリスマス商戦に間に合わせたかった」。レコチョク システム本部の 白石久彦マネージャーは、4カ月間のプロジェクトをこう振り返る。短期開発を乗り切るために、システムとマネージメントの両面で工夫を講じた。パッケージをカスタマイズして使うこと、および内製化の推進である。

 ポイントシステムは、クレアンスメアードのパッケージをベースに、フィットアンドギャップ分析を行って構築。「メンバー登録していない利用者が商品を購入した場合、その日のうちに登録してくれればポイントを付与する」(白石マネージャー)など、同社の要件を順次取り入れていった。

 システムの課題はパフォーマンスにあった。「ポイント付与の負荷が高いことが分かっていたし、歌謡番組でランキングが紹介されると負荷が跳ね上がることも想定された」(白石マネージャー)からだ。PHPを使ったアプリケーションは、ゼンド・ジャパンのアプリケーションサーバー「Zend Platform」を使ってパフォーマンス向上を図った。「Zend Platformのスクリプトキャッシング機能を使えば、PHPプログラムをコンパイルしたうえでメモリーやディスク上にキャッシュできる。インタプリターで実行するより格段に速い」(ゼンド・ジャパンの佐藤栄一取締役)。

 データベースはOracle Database 11gを2ノードのクラスタリング構成(RAC)で利用。ポイント付与といったトランザクションで負荷テストを繰り返した。システム構築を担当したサードウェア 営業部の大塚和彦マネージャは、「最初はパフォーマンスが出なかったが、ツールを使ってアクセス状況を分析し、インデックスをチューニングした」と話す。分析ツールは、インサイトテクノロジーのPerformance Insightを用いた。

 同社では、これほどの規模のシステムを内製化することは珍しいという。「ワンストップでベンダーお任せだと、どうしても余裕を持たせたスケジュールになる。ビジネスのスピードを優先するために内製化に踏み切った」。白石マネージャーはこう話す。プロジェクトにかかわった会社は20を数える。全体会議を通じて定点観測を入念に行い、2009年12月16日のオープンに漕ぎ着けた。今後について白石マネージャーは「アイデアがどんどん出てくる会社なので、考えたことをすぐに実現できるシステムにしていきたい」と意気込む。