中高生向け携帯学習サイト「uchico」を担当する新規企画本部エデュテイメントチームの山崎あしたプロデューサー(左)と倉垣英男執行役員(右)
中高生向け携帯学習サイト「uchico」を担当する新規企画本部エデュテイメントチームの山崎あしたプロデューサー(左)と倉垣英男執行役員(右)
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 サミーネットワークス運営の中高生向け携帯学習サイト「uchico」が、2008年8月の開設からわずか1年半で急成長を遂げている。2010年3月中に会員数が65万人を突破する見込みで、現在も1日当たりおよそ1500人が新規入会しているという。同社新規企画本部長の倉垣英男執行役員は「将来的には中高生の4分の1に当たる100~120万人の会員数を目指す」と目標を掲げる。

 中高生向け学習サイトへの取り組みは2008年2月、前身の有料サイト「ウチらのベンキョー委員会」を開設したことから始まった。このサイトは月額300円の利用料金を払えば、中学生向けの英語と歴史を学べるというサービスだった。同社が得意とするゲームの要素を取り込んだコンテンツを売りにしたものの、サービス開始から数カ月たっても会員は1万人以下にとどまった。

 そこで、「まずは広くユーザーに使ってもらおう」(倉垣執行役員)と考えて、無料サイトのuchicoを始めた。ユーザー獲得のためにこだわったのは、学習コンテンツのレベルを「中間層」向けに設定することだ。進学校や学習塾で日々、長時間勉強している子どもたちはそもそも携帯電話サイトを学習に利用しようとしない。かといって受験勉強そのものを放棄してしまっている子どもたちにも受け入れられにくい。そこで、勉強は嫌いだったり苦手だったりするものの、「受験勉強はやらなければ」という焦りを持つ中間層をメーンターゲットに据えた。音楽に合わせて年号を覚えられる「歴史deラップ」や、歴史上の人物をユーモラスに伝える「パねえ偉人伝」などのコンテンツが人気だ。

 uchicoは当初から女子中学生を意識しただけに、現在もユーザーの6割が女性だという。開発時は女子中学生を主な対象としてグループインタビューを何度も実施した。「女子の方が遊び心を持って勉強に臨む傾向がある。男子中学生は勉強と遊びを完全に切り分ける」(新規企画本部エデュテイメントチームの山崎あしたプロデューサー)からだ。新古今和歌集などの古典を学べる恋愛小説「運命/運命なんか」は、女子中学生から聞いた生の声をヒントに開発したコンテンツの1つだ。

 また、uchicoには高校生向けのコンテンツもある。中学校を卒業した後も引き続き利用するユーザーが多いため、現在では高校生の登録者数が中学生を上回っているからだ。