個々の利用状況を分析しプラン変更やサービスを提案

 この分析基盤を生かし顧客への提案活動を強化している。例えば「auブランドの携帯電話の利用が一定傾向の顧客を抽出して、より有利な料金プランを電話やDM(ダイレクトメール)で提案する」「法人契約の携帯電話で、以前に比べて利用が減っている場合(他社携帯電話への移行の可能性がある場合)に、その法人に訪問して自社サービスを訴求する」などだ。

 新システムにより、「利用額」「利用時間帯」といったより詳細なデータを考慮しながら有効な施策を打ち出せるようになった。従来も「契約年数」「利用機種」など単純な条件で顧客を抽出する分析は行えたが、新システムには延べ2000以上のデータ項目が入っており、これらを自由に組み合わせて分析できる。

 頻繁に依頼が来る分析パターンについては、容易に分析結果を引き出せるようにもした。例えば「auポイント数が一定以上の顧客(=利用期間が長い顧客や、ロイヤルティーの高い顧客)を抽出する」などだ。

 新システム稼働以後、情報分析に対する社内からの依頼は増加している。1日数件のペースでKEPLERからの情報の「抽出依頼」を受け付ける。最長1週間で、利用部門に分析結果を返す。

 携帯電話事業だけでなく、KDDIが手がける固定電話・国際電話事業の強化にもKEPLERは役立っているという。例えば「携帯電話による国際電話の利用履歴がある顧客に、より有利な国際電話契約の利用を勧める」という事業部門横断での提案活動を強化している。

 これでもまだKEPLERに取り込めていない情報は多いという。例えば「auひかり」(住宅向けの光ファイバーブロードバンドサービス)の通話・利用明細や、携帯電話コンテンツの利用状況なども分析できるよう、今後数年かけてデータの整理を進める方針だ。