140文字のメッセージをやり取りできる個人の交流サイト「ツイッター」をマーケティングやブランディングに利用する企業が増えている。2009年12月に12日間にわたって「年末おそうじ相談室 on Twitter」を開設したダスキンもその1社だ。長年、「年末おそうじ相談室」と題した無料相談を続けていたが、初めてツイッターも受付窓口に加えたところ、相乗効果が表れて期間中の電話相談の件数は過去最多となった。

 消費者からの相談に対して回答を“つぶやいた”のは、コールセンターで電話対応に当たっていたオペレーターたちだ。4~5人がローテーションを組んで、12月17~28日までの平日は午前10時から午後7時、土曜は午前10時から午後5時半まで対応に当たった。ダスキンはこの取り組みのために「DUSKIN_OSOUJI」というアカウントを取得した。

 同社が12月に無料の掃除に関する相談を受け付け始めたのは1981年。消費者への企業やサービスの認知度向上などが目的だった。窓口としてツイッターを活用するアイデアは2009年秋ごろに持ち上がった。「ツイッターの認知度も利用者数も上がってきていた。従来通り電話だけならば主婦が中心になるが、ツイッターを窓口にすれば男性からの連絡も増えるはず」と広報・広告部コミュニケーション制作室Web担当の上村淳一副主事は狙いを語る。

 コールセンター運営室の米田渉氏は「期間中にとんでもない質問は無かった」と振り返る。20年近くこの時期に掃除方法の相談に乗ってきた実績があるため、たいていの質問は想定できる。ダスキンは200以上の想定質問をあらかじめすべて140文字以内のテキストデータにまとめておいた。こうしておけば、質問に合わせて文章を手直しするだけで素早くつぶやける。

 例えば、「クリームクレンザーを使用する場合は、ジーンズ布のような布で行うとより効果あります。それでも取れない場合は、ある程度キズは覚悟して金属タワシや耐水サンドペーパーなどでこすり取るしか方法ありません。プロでもカビは完全には取れない場合もあります」といった具合だ。これで119文字である。米田氏は「オペレーターは『どうすれば掃除を好きになれますか』といった漠然とした問いには少し悩んだようだが、大半は鏡や水回りの掃除など一般的な質問だった」と語る。

 2009年は電話窓口を12月17~19日の3日間開設した。前年の4日間より1日短いにもかかわらず期間中の対応数は3倍となり、81年の開設以来最多を記録した。特に初日は前年の5倍となる478件の電話に応じた。ただし、大きな反響があった無料相談から2カ月たったものの、現状では売り上げへの貢献度合いは不明だという。上村淳一副主事は「もともと年末おそうじ相談室は販促のためのものではない。企業イメージの向上という面では有効だったと考えている」と話す。2010年以降も年末そうじ相談室は続ける予定だが、ツイッターを利用するかどうかは未定だ。