売り上げ規模だけでは優良顧客は分からない

 このような体制は、主に2つの課題を抱えていた。1つは、売上高は大きくないが採算性が高い取引先や、将来伸びる余地がある取引先を見落としがちなこと。売り上げ規模を基準にしている限り、営業担当者は大手の取引先に優先的に営業をかけてしまいがちなもの。しかし、大手の取引先には当然ながら競合も力を入れており、価格勝負を強いられやすい。このような事情で利益が伸びづらい構造になっていた。

 もう1つの課題は、取引先のニーズに即した提案営業が難しかったことだ。例えば、青果の営業担当者が青果売り場の棚割りを改良する提案を出しても、取引先の課題が別の商品にある場合には受け入れられにくい。従来の商品カテゴリー別の体制は、優良な取引先を開拓するには心許なかった。

 同社は数年前からこれらの課題を認識し、取引先別に営業戦略を立てて展開する体制への切り替えを模索してきたという。しかし2008年までは基幹システムの制約で、取引先ごとの収支を把握できなかった。この状態では、どの取引先にどんな商品を売り込むべきなのかが判断しにくい。基幹システムの改良によって各営業所のマネジャーが課題解決型の提案営業に取り組める情報活用体制が整い、今回の組織見直しに至った。