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全日本食品(全日食チェーン)
“最適売価”で売上高2割増、小規模店でも「毎日低価格」実践

清嶋 直樹=日経情報ストラテジー 2010/03/04 日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2009年5月号pp.94-97
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

百貨店や総合スーパーなどの小売業の不振が続くなかで、小規模店をチェーン化する全日本食品(全日食チェーン)の業績が上向いている。2009年8月期は売上高が前年同月比2けた増で推移。近所での気軽な買い物に回帰する消費者を、独自の“最適売価”で引き付けた。

 東京都北区のJR十条駅近くにある食品スーパー「シティストアサーブ」は今、活況に沸いている。ここ1年、売上高が前年同月比1~2割増で推移しているのだ。オーナーでもある渡辺正之店長は「長く低迷していたのが好転してうれしい。競合店ができても、売り上げが落ちない。ここ十数年改装などに投資できなかったが、これで前向きな投資ができる」と声を弾ませる。

東京都北区のJR十条駅近くにある全日食加盟店「シティストアサーブ」。30坪の限られたスペースだが、アイテム数を絞り込み、重点商品は2列以上並べて目立たせる
東京都北区のJR十条駅近くにある全日食加盟店「シティストアサーブ」。30坪の限られたスペースだが、アイテム数を絞り込み、重点商品は2列以上並べて目立たせる

 シティストアサーブは、中小の商店主が経営の自主性を保ちながら仕入れを共同で行うボランタリーチェーンの大手、全日本食品(東京・足立)が運営する「全日食チェーン」の加盟店である。全国約1800店の加盟店の中でも典型的な店舗だ。

 加盟店には、長年続く家族経営の小規模店が多い。シティストアサーブの出店は約30年前。売り場面積はわずか30坪ほどで、標準的なコンビニエンスストアと同じぐらいである。

 生鮮品を含む食品を中心に扱う。来店客数は1日1000人弱で年商2億5000万円。車道に面しているが駐車場はなく、半径300メートルの徒歩圏内を主な商圏としている。

 十条駅前には大規模な商店街があり、昔ながらの商店に加えて、コンビニやスーパーもひしめく商業激戦区だ。十条駅は池袋駅と赤羽駅というターミナル駅の中間に位置する。通勤・通学者はこれらの駅周辺にある大型店で買い物をすることも少なくない。

 シティストアサーブでは以前は、通勤帰りの来店客が多い平日に比べ、土日の売り上げが少なかった。しかし、現在は平日とほぼ変わらなくなるまで伸びた。競合店が多く、昔ながらの住宅密集地で人口にも変化がない。なのに、なぜこの1年で急に売り上げが増えたのか。

大手に引けを取らない値ごろ感

 その背景には、全日食チェーンのエブリデーロープライス(毎日低価格)戦略がある。シティストアサーブの値札を見ると500ミリリットル入りペットボトルのお茶が88円、1リットルの箱入り牛乳が178円など、大規模店に引けを取らない低価格を付けている。

 売上高が伸びているのは、シティストアサーブだけではなく、全日食チェーン全体の傾向だ。2007年9月から実施している「新・商品施策」と、これを支える新しい基幹情報システム「HEART-ONE(ハートワン)」の導入が奏功している。売れ筋商品に的を絞り、値ごろ感がある価格を付ける施策だ。

 全日食は2000年以降、直営店やフランチャイズ店が主体の大手小売業に押されてきたが、この施策の成果もあり、業績が回復した。2008年8月期の売上高は前期比8.3%増の870億円。今期(2009年8月期)は10年ぶりに売上高1000億円突破し、最高益の更新を見込む。シティストアサーブのように売上高が2けたで伸びる既存店が多く、その影響で新規加盟店も増えるという好循環につながっている。

●全日本食品はIT投資と「新・商品施策」を断行、10年ぶりに売上高1000億円回復へ
[画像のクリックで拡大表示]

 自社だけが扱うPB(プライベートブランド)商品の大量仕入れでバイイングパワーを発揮し、利益率を高めようとしている最近の大手小売業に対し、全日食は逆の戦略を取る。HEART-ONE導入を主導したCIO(最高情報責任者)の竹嶋孝一・執行役員情報システム本部本部長は「PB商品よりも、誰でも知っているナショナルブランド(NB)商品を“最適売価”で売るのが基本だ」と説明する。全日食は「モアセレクト」などのPB商品も扱っているが、現在は新規商品の開発はせず、NB商品の拡販に焦点を当てている。

 大手スーパーはかつてない大不況に対応するため、「生活応援値下げ」などを競っている。しかし、全日食は一定の値ごろ感は出すものの、正面対決は避けている。大手に比べれば全日食チェーンのバイイングパワーは小さい。大量仕入れで仕入れ値を抑える手法には限界がある。

 そうなると、価格と販売数量のバランスで工夫するしかない。HEART-ONEのデータから、理論的に利益額を最大化できる“最適売価”をはじき出している。具体的には、ある期間の各店舗のPOS(販売時点情報管理)データから、粗利益(売価-仕入れ値)と販売数の分布を調べて、利益額が最大になる売価を探る(下の図)。

●全日食チェーンの“最適売価”決定方法(数字は一例)。実売データを基に試算

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