2010年2月、日科技連のQCサークル関東支部が開催した「改善事例チャンピオン大会」での同社の発表風景
2010年2月、日科技連のQCサークル関東支部が開催した「改善事例チャンピオン大会」での同社の発表風景
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 ベネッセホールディングス傘下の、コールセンター受託事業会社、テレマーケティングジャパン(TMJ、東京都新宿区)の業績が上向いている。それを支えているのが2006年に開始した小集団活動だ。「2006年に比べて営業利益率が1.5倍になり、正社員の年間離職率が10.7ポイント低下している。小集団活動の成果の表れだ」(同社広報)という。

 コールセンター受託事業は社員の多くが顧客企業の拠点に常駐する。常駐先での小集団活動は難しいとされるなか、TMJのように全社規模で励んで成果につなげている事例は珍しい。

 日科技連のQCサークル関東支部が開催した「改善事例チャンピオン大会」には、京浜地区を勝ち抜いて2009年、2010年と2年連続で出場。2010年2月の同大会では採用センターと財務経理部が共同で会計処理の効率化を発表するなどして銀賞を獲得した。

常駐先の顧客企業の「巻き込み」も促す

 TMJが小さな改善を始めた背景には、「社員間で業務ノウハウの共有が進まず、社員の帰属意識も低かった」(和田淳CC統括本部本部長)という問題意識があった。各拠点の社員が類似する課題を抱えて悩んでいるケースが散見されたほか、正社員の離職率の高さなどを問題視していたという。

 そこで製造業出身の和田本部長などが小集団活動を提案した。チーム活動で帰属意識を生み、ノウハウ共有も進める狙いだ。製造業に倣い、各拠点の社員が6~7人で小集団を形成。半期ごとにテーマを変えて活動している。

 各種分析ツールや報告書に相当するブログなどはネットで常駐先からも入手・利用できるようにした。金融機関などセキュリティーの厳しい取引先に常駐する社員には「休憩室にパソコンを持ち込んでアクセスするなど工夫してもらった」(野上真裕CC統括本部運営支援部CC開発センターセンター長)。

 活動を盛り上げようと、小集団が報告した進捗には、経営陣が時々コメントを付けている。全社を挙げての発表会は半年に1度のペースで開催している。次回は3月5日に開催する予定だ。

 各集団のリーダーシップを育もうと、審査ポイントには「常駐先の顧客企業などの他社をどれだけ巻き込んでいるか」を加えている。例えば、オペレーターの業務改善のために部屋のレイアウト変更を提案し、協力を取りつけるなどだ。

 こうした地道な工夫の積み重ねが現在の盛り上がりにつながった。「各チームの改善金額の合計は、事務局の人件費や改善ツールの運用にかかったコストの15倍に上る」(野上センター長)という。