マネースクウェア・ジャパンは、外国為替(FX)システムを刷新した。ディーリング業務に的を絞って高速化を図り、約定のスピードを従来の約10倍に引き上げた。構築期間は4カ月、開発パートナーはウルシステムズである。

 四つのコンポーネントから成るFXシステムの中で、ディーリングに必要な機能を提供する「ミドル」と呼ぶ部分を中心に手を入れた。開発コストは、全面再構築した場合に比べて3分の1で済んだという。投資額は数千万円とみられる。
 
 「パッケージを使って全面再構築することも考えた。しかし、弊社独自の注文手法などをカスタマイズで加えるとなると、全部で数億円に膨らむとわかった」。マネースクウェア・ジャパン 業務管理部の西田大助 シニアマネージャーは、“部分”再構築を選んだ理由をこう話す。同社のFX取引は、他社にはない注文手法を提供することが特徴。例えば、一定間隔の値幅で、一定の金額の新規注文を複数発注する「トラップトレード」は同社が特許を持つ。

 再構築プロジェクトが始動したのは2009年1月。システムの高速化は待ったなしの状況にあった。「顧客数の伸びをにらむと、性能面であと数年しか持たなかった」(マネースクウェア・ジャパン システム事業部の森川哲史 システム戦略室長)。

 システム構築当たっては、同社が既存システムのロジック分析を、ウルシステムズが技術面の判断を担当。高速化のポイントは、疎結合だったサーバー間の通信を、イベントドリブン型に変更したこと。例えばレート情報の配信処理。従来は一定間隔でレート情報をポーリングしていたものを、レートが変わったタイミングで送り付けるように変更。こうしたチューンナップにより、処理時間を数十ミリ秒に短縮した。