福利厚生代行サービス大手のベネフィット・ワンが業務プロセス改革を検討する全社横断型の委員会「プロジェクト・ゼロ」を発足させ、2009年11月末から活動に取り組んでいる。同委員会があらゆる業務プロセスを洗い出し、処理にかかるコストや時間を半減させたり、品質を50%高めたりする施策を2010年3月までに策定する。その施策を同年4月から各部門で展開する計画だ。

 各部門から選ばれた委員が、自らが所属する部門の業務プロセスを2009年12月18日までに洗い出し、改善すべきテーマをリストアップ。「改善計画書」にまとめて12月22日にプロジェクト・ゼロに提出する。具体的な改善策やそれに要するコストを2010年1月以降に検討する。

 今回の委員会を立ち上げた責任者は、小山茂和・常務取締役管理部門担当兼経営管理部長である(関連記事)。小山常務は以前から社内の業務フローに課題を感じていたという。「事業規模が拡大するなか、目の前の課題を大量の人員投入によって乗り切ることに精一杯で、業務効率を改善する意識はあまり身に付かなかった」(小山常務)

 この小山常務の課題認識を裏付けるように、同社の対売上高販管費率はこの数年間、高止まりしている。初めて上場した2004年と比べて売上高が2倍以上に拡大したにもかかわらず、販管費率は当時と同じ47%のまま。すなわち、事業規模の拡大が業務の効率化に結びついていない。そこで、「創業期に戻った気持ちで業務プロセスを根こそぎ見直す」(小山常務)ことにした。今回の活動を通じて、販管費率を2ポイント低減させるのが目標だ。金額換算すると3億円あまりの効果になる。

 プロジェクト・ゼロの参加者は、各部門の部長と相談しながら小山氏が指名した。主な選考基準は「ベテランではなく、斬新な発想と論理的な思考ができる人材」(小山常務)。既存の業務プロセスに染まりきっていない若手のほうが、忌憚(きたん)なく意見を出せるとの考えがある。結果、小山常務を含む17人のメンバーの過半数が20代で、しかも新卒入社2~3年目の若手社員を多く抜てきした。同じく20代で委員会の事務局を務める経営管理部の小寺暁子経営企画チームリーダーでさえ、「私はかなり年輩」と苦笑いするほどのフレッシュな顔ぶれとなった。

 また、小山常務は今回の取り組みを若手人材の意識改革を促す手段としても期待している。「課題を発見してそれを改善する活動を通じて、自発的にPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回せる人材を育てたい」(小山常務)。活動期間中は週次で各部門の委員と議論し、個別にフォローして成長を手助けする考えだ。