電動アシスト自転車で客先の保守作業に向かう富士ゼロックス東京の社員たち
電動アシスト自転車で客先の保守作業に向かう富士ゼロックス東京の社員たち
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 富士ゼロックス東京(東京都新宿区)は、複合機の顧客企業への保守訪問に使うバイクを電動アシスト自転車に変更する施策で、導入3年目の2009年は約4000万円のコスト削減を達成したことを明らかにした。バイクのリース代やガソリン代が浮いたことによる。約3年前の2006年9月から550台の電動アシスト自転車を導入、初期購入費は2年目の2008年中に回収できたという。電動アシスト自転車は5年間は使えるので、導入から3~5年目(2009~2011年)に延べ1億2000万円(毎年4000万円)を削減できる見通しだ。

 初期購入費は1台当たり約15万円で、合計約7700万円を投じた。パナソニックサイクルテック(大阪府柏原市)製の自転車本体に、富士ゼロックス東京専用の保守箱を荷台に取り付けた仕様だ。

 導入効果は費用ばかりではない。富士ゼロックス東京は電動アシスト自転車を導入した際、客先への到着時間は従来よりも多少遅くなると考えていたが、実際に使ってみるとバイクの時に必要だった駐車場を探す手間や駐車場から客先まで歩く手間が無くなった。その結果、保守依頼の電話連絡を受けてから顧客企業に到着するまでの時間(応答時間)が、バイクを使っていた3年前に平均65分だったのが、50分前後まで縮まっている。バイクの違法駐車の撲滅や環境問題に配慮して採用した電動アシスト自転車だったが、顧客満足度の向上にもつながったわけだ。

 電動アシスト自転車を導入しているのはJR山手線の内側にある保守拠点が中心で、拠点を中心に半径1km以内の客先までの移動利用がほとんどだ。1日に5件ほど保守に回るので、毎日最大で10kmほど電動アシスト自転車に乗ることになるが、「移動に疲れる」といった不満は出ていない。

 自転車なので、タイヤのパンクやブレーキのたるみ、保守箱の修理などに一定の費用がかかるものの、バイクのリース代に比べれば、ずっと少ない出費で済んでいる。3年間で自転車の盗難被害も起きていない。ただし、自転車事故は発生しており、その点は注意が必要だという。