写真●製造現場で浅岡矢八氏(写真右)のアドバイスを受ける業務部手配グループの須藤和弥グループ長(写真左)ら昭光機器工業の従業員
写真●製造現場で浅岡矢八氏(写真右)のアドバイスを受ける業務部手配グループの須藤和弥グループ長(写真左)ら昭光機器工業の従業員
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 昭和電線グループで非鉄金属材料加工品の製造・販売などを手がける昭光機器工業(神奈川県相模原市)は11月24日、前月から受講中のトヨタ流現場改善の基本ノウハウを学ぶ外部研修の様子を本誌記者に公開した。研修の受講者3人を主体にトヨタ自動車出身のコンサルタントに製造現場を披露するなどして、トヨタ流改善のアドバイスを4時間にわたって仰いだ。

 同社が受講中の研修は、トヨタグループのコンサルティング会社であるオージェイティー・ソリューションズ(OJTS、名古屋市)が提供する「改善眼プログラム」。3人の受講生と補佐役の上司が、6カ月にわたって取り組む。プログラムは異業種の企業と合同で受講する5回の集合研修と、トヨタ出身の講師が各社の職場を訪問する4回の「現場アドバイス」で構成。集合研修で「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」や作業改善のコツといったトヨタ流の基礎を学びつつ、その知識を生かして自社職場の現場改善に取り組める仕組みになっている。

 今回、記者に公開したのは現場アドバイスの1回目である。まず、業務部手配グループの須藤和弥グループ長ら3人の受講生が中心となり、集合研修で提出した行動計画の進ちょくを講師の浅岡矢八氏に報告した。続いて、浅岡氏を製造現場へと案内した。

 進ちょく報告の際には穏やかな表情でやり取りしていた浅岡氏だが、製造現場では一転して目つきが鋭くなった。トヨタ流の基本中の基本である整理整頓ができていない現場を目ざとく見つけては、「原材料と治具を同じ場所に置いていてはいけない」などと具体的に指摘して回った。浅岡氏は60分間の現場視察で膨大な指摘を繰り出し、昭光機器工業の従業員たちも真剣なまなざしで聞き入っていた。

 一方で、浅岡氏が高く評価した取り組みもあった。一例は、須藤グループ長ら3人の受講生が食堂に張った「加工職場5S改善進捗状況」という活動掲示板である。各職場の改善前と改善後の様子を写真で一覧できるようにしたもので、浅岡氏は「もっと目立たせてもよいくらい」とお墨付きを出していた。

 実は須藤グループ長は活動掲示板を食堂に張ることに不安だったと打ち明ける。「休憩する食堂で改善活動を誇示すると、かえって現場の反発を招くのではないかと恐れていた」(須藤氏)。しかし実際には肯定的な反応ばかりだったため、須藤氏も手応えを感じたという。活動はまだ序盤だが、残り4カ月あまりの研修期間で5Sが浸透する期待を十分に感じさせた。