新型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の1号店である鎌倉大船店。2009年9月12日のオープン初日に数百人の行列ができた
新型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の1号店である鎌倉大船店。2009年9月12日のオープン初日に数百人の行列ができた
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ブックオフコーポレーションの佐藤弘志代表取締役社長(左)と安田典之営業副本部長
ブックオフコーポレーションの佐藤弘志代表取締役社長(左)と安田典之営業副本部長
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 中古書籍販売最大手のブックオフコーポレーションは2009年11月19日に、新たな複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR(ブックオフスーパーバザー:BSB)」の2号店を名古屋市にあるカインズモールで開店する。4798平方メートル(1451坪)とグループ最大の売り場面積を誇る同店は、ブックオフの成長戦略の鍵を握る。佐藤弘志代表取締役社長は、「この総合リユース事業こそが、当社の目指す未来の姿。社運を賭けている」と語る。

 BSBの1号店は、2009年9月12日に神奈川県鎌倉市にオープンしたばかり。出足は好調で、開店初日だけで1130万円の売り上げを記録、ブックオフグループの複合店舗での1日当たりの売り上げの過去最高金額を2倍近く更新した。それだけに今回のBSB名古屋みなと店にも大きな期待がかかる。

 前述の鎌倉大船店では、本やCDやDVDやゲームソフトの中古品を扱う通常のブックオフの機能を持つだけでなく、子供服やスポーツ用品、洋服、腕時計、ブランドバッグなどの中古品も扱い、直営のカフェも置いた。グループのリユース事業会社の力を結集したのだ。

 新たにオープンする名古屋みなと店は、鎌倉大船店よりさらに品ぞろえが充実。プラモデルやトレーディングカードなど玩具の中古品を加えるほか、新刊書店を中古書籍コーナーの横に置く。新刊書店は2008年買収した青山ブックセンター(東京都渋谷区)が運営する。新刊と中古の間で送客を促す取り組みも仕掛けていく。

「中古劇場」のBSBへの業態転換推進。年間経常利益を1億円に

 ブックオフの佐藤社長は、橋本真由美会長や幹部らと何度も話し合い、2009年初めに成長戦略の柱を総合リユース事業とすることを決意した。こうして2009年度(2010年3月期)から総合リユース事業に本格的にシフトし始め、BSBを立ち上げた。人事面でも、BSB事業を統括する子会社のリユースプロデュース(神奈川県相模原市)にはブックオフのエリアマネージャーなどリーダークラスの人材をつぎ込んでいる。

 佐藤社長は、総合リユース事業へのシフトを見据え、2009年2月に店舗改善部を立ち上げた。橋本会長や安田典之営業副本部長などを配属。安田副本部長はリユースプロデュースの代表取締役社長を兼務する。橋本会長や安田副本部長らは、全国に18館ある既存の複合店舗「中古劇場」などに直接足を運び、業務オペレーション改革を進めている。特に橋本会長が現場に入ると、従業員の士気が一気に高まるという。「(幹部である)自分たちが先導して業務改革をしていかないといけない。店に行って実践して見せるのが最も伝わりやすい」と安田副本部長は話す。

 計18館の既存複合店舗も2009年度末までに、店舗デザインを刷新してBSBに業態転換を図る。中古劇場とBSBの大きな違いの1つは、「館長」というポジションを設けたことだ。従来の中古劇場は、商材の異なる複数の中古店が単に集まっただけで、店ごとに縦割りの意識が強かった。その結果、商材ごとの買い取りノウハウなど専門性を高めることができたし、業績も伸ばしてきた。「だが、お客様からしたら複合店舗全体で1つの店にしか見えない。バラバラだった買い取りや販売のカウンターは1つにまとめたほうがいいし、人材の採用基準も1本化したほうがいい。だから館長を置いた」と安田副本部長は説明する。館長は、アルバイトの採用や教育だけでなく、棚割りなど館内で生じる様々な業務の意思決定権を持つ。館全体のプロモーション戦略の責任も負う。

   ブックオフは2009年度中に、BSB鎌倉大船店とBSB名古屋みなと店を含む計20館のBSBのうち10館を年間経常利益1億円超まで成長させたい考えだ。この目標を実現すべく、2008年度に経常利益が1億円を超えていた中古劇場とそうでない中古劇場の差を分析し、1つの劇場内にいる複数の店長の役割やレイアウトや品ぞろえなどの成功マニュアルを作成、これに沿った改善作業にも着手している。