調剤薬局大手のアインファーマシーズは、薬剤師の手作業が中心だった調剤業務の自動化に力を入れている。2009年9月に千葉県柏市の薬局に薬品の自動ピッキング装置を試験的に導入し、11月にはさらに2つの店舗にそれぞれ異なるメーカーの同装置を導入する予定である。当面は試験運用を続けるが、170店以上への導入を検討している。自動化に向けて3年間で30億円の投資を要するが、170店に導入すれば労務費を20億円以上削減できる計算だという。

 同社は、2002年から薬の種類や量を間違えて処方する調剤過誤を撲滅するためにPDA(携帯情報端末)を活用した独自の調剤システムを構築したり、ささいなミスでも報告を必ず本部まで上げるように意識づけを徹底したりしてきた。その結果、調剤過誤率は限りなくゼロに近づいた。ただし、分量の間違えだけはどうしても発生してしまう。ピッキング業務の自動化はこうしたミスを無くすのが狙いだ。

 アインファーマシーズで医薬事業部長を務める首藤正一常務取締役は、「何万件に1件のミスでも被害に遭った人にはそれがすべてだ。労務費の削減にはつながるが、システム化におけるポリシーはあくまで安全が最優先だ」と話す。