カシオ計算機は2009年12月までに、家電量販店の売り場情報を従来以上に「見える化」する。国内量販店向けの営業担当者約700人が使っている営業支援システム「C-Active(シー・アクティブ、関連記事)」と連動させる形で、売り場の様子を記録した写真を一元管理できる「売り場情報システム」を追加するのだ。2010年以降にこの新システムを海外営業部門で利用することも検討している。メーカーが小売店での商品陳列情報を自力で集めて店頭販促に生かす手法は、花王やエステーなど日用品メーカーでは実践済みの企業が多い(関連記事1関連記事2)が、家電メーカーでは珍しい。

 同社ではデジタルカメラや電子辞書などの新製品を発売する際、営業担当者が量販店の店頭を訪問し、商品の陳列や店頭販促のための飾り付けなどの作業を行う。営業担当者は、作業後の売り場の様子をデジタルカメラで撮影し、C-Activeのデジタル営業日報に作業状況などを書き込むと同時に、撮影した画像をC-Activeに登録してきた。

 こうして集めた画像データは、本社のマーケティング部門や販促企画部門など関連部門の担当者にとっても有益なものだ。様々な判断のベースとして活用できる。しかし、C-Activeはあくまで営業部門向けに設計されたシステムなので、営業部門以外の担当者から見ると活用しづらい面がある。例えば、画像のサイズが一律ではないし、商品別や店舗別に画像を一覧表示することはできない。このため、あるテーマの画像をまとめて見たい場合、別のソフトウエアを使って画像一覧を作成する必要があった。これでは手間も時間もかかる。

 新システムは、営業担当者が登録した画像データを自動的にサイズ調整する機能を持つ。商品別やチェーン別、店舗別などで閲覧しやすい形で表示する機能もある。本社マーケティング部門などの担当者は画像一覧を見て、陳列方法が計画通りに徹底されているかどうかを判断したり、より効果的な店頭販促の方法を検討したりする。例えば画像を一覧することによって、量販店のルールなどで事前の計画通りの陳列ができないことが多いと分かれば、本社で対策を練る。

 営業本部国内営業管理部業務推進室の井原実・室長は、「売り場の現状は言葉では表現しにくいし、営業日報に書かれた言葉から複数の売り場の現状をまとめて把握することは難しい。新製品の発売時に、全国の売り場で一斉に行われる作業の様子を写真で一覧できれば、素早く次の対策を打てるようになる」と説明する。

 2008年から利用しているC-Activeはカシオ計算機が独自に開発したシステムだが、今回の新システムは外部のIT(情報技術)サービスを活用して構築する。カシオ計算機出身者が起業したフォトハイウェイ・ジャパン(東京都文京区)の写真共有サービス「PhotoHighway Japan」をカスタマイズし、C-Activeと連動させる。