クリアックスの市川智彦総務部次長(写真左)と山本智久総務部人事課主任(写真右)
クリアックスの市川智彦総務部次長(写真左)と山本智久総務部人事課主任(写真右)
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 首都圏にあるカラオケ店「カラオケ歌広場」や、静岡・伊豆地方の伊東園ホテルなどを運営するクリアックス(東京都豊島区)は2009年9月末までに新しい勤怠管理システムを全店展開し、本格運用を開始した。このシステムを使い、店員のタイムカード回収や勤務時間の計算間違いがないかを確認する作業などの手間を解消。各店と本社の人事部門の勤怠管理に伴う業務効率を改善する。市川智彦総務部次長は「本社の人件費だけで年間720万円のコスト削減効果を期待できる」と話す。

 クリアックスは主力事業のカラオケ店運営に加え、2002年以降にはホテル事業を拡大してきた。カラオケとホテルでは業態が異なるだけでなく、ホテルは主に買収で増やしてきたという経緯から、勤怠管理が業態ごと、さらにはホテルごとにバラバラだった。例えば、カラオケ店は指紋認証で出退勤を記録し、あるホテルはタイムカードで記録するといった具合だ。このため、勤怠管理業務を正確にこなすため、カラオケ店担当やホテル担当を配置して対応してきた。

 しかもタイムカードを利用するホテルは、毎月大量のタイムカードを本社の人事部門宛てに送ってきた。人事部門の給与担当者はタイムカードの現物を見て、出退勤記録のデータを入力。給与を計算していた。これらの非効率な業務のせいで、給与担当者は毎月半ばに作業に追われ、残業が常態化していたという。

 そこでクリアックスは、新システムを導入して勤怠管理を全社で一本化した。指の静脈認証で出退勤情報を取得し、そのデータをネットワーク経由で本社に送ることで勤怠状況を記録する。この仕組みで紙のタイムカードを本社に郵送する業務と郵送費を一掃した。本社はデータをわざわざ入力する手間が無くなり、本社の給与担当者を2009年10月から2人減らし、6人体制にできた。

 従来より給与担当者の人数が少なくなったものの、給与計算業務の負荷が減ったため、残業時間はかえって減少した。ネオレックス(名古屋市)のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)形式の勤怠管理サービスを採用したため、毎月のシステム利用料金が発生するものの、そのコストを十分に上回る効果が出ている。