キユーピー仙川工場(東京都調布市)の間接部門が、業務プロセスの見直しによって紙の使用量を削減する取り組みで成果を上げている。システム科学(東京都文京区)が開発した改善支援ツール「HIT.3」を間接部門の従業員が駆使し、既存の業務プロセスを可視化。時間のロスが大きく、無駄な紙を使用している業務を見つけ、そのプロセスを改善する。その結果として、2009年1月~9月に約7500枚の紙の使用を削減した。

 今回の取り組みは同工場が2003年から取り組んでいる改善活動「夢多゛(むだ)採り活動」の一環である。間接部門は2007年から本格的に同活動に取り組み、HIT.3を駆使しながら業務に潜む無駄を取ることに努めてきた(関連記事)。

 ただしHIT.3を駆使する従業員は2008年まで、夢多゛採り活動を推進する生産技術課業務改善係の担当者など、一部の従業員に限られていた。夢多゛採り活動で従来以上の成果を上げていくには「一部の従業員だけでなく、あらゆる従業員が自らの仕事を見える化して主体的に改善していかなければならない」(篠原真人執行役員仙川工場長)。

 そこで業務改善係の奥田裕子氏が中心となり、間接部門の従業員約60人を対象にしたHIT.3の勉強会を企画した。2009年1月から、3カ月に1回の頻度で勉強会を開いている。各従業員がツールを駆使して自身の業務プロセスを検証できるようにして、無駄に気づきやすくし、改善を促進する狙いである。

 同年9月までに約50人の従業員が活用法を身につけ、自らの業務をチャートで表し、見直せるようになった。さらに9人の従業員は、ほかの担当者が作成したチャートを理解して「このプロセスは見直したほうが良い」などとアドバイスできるスキルも身につけた。従業員の「改善の目」を養う施策によって活動の基盤が整い、各従業員が業務プロセスを自主的に見直す原動力となった。これが紙の使用量削減につながったという。