オフィスグリコの販売用の箱(リフレッシュボックス)。江崎グリコの担当者が定期的に巡回して集金・商品補充をする
オフィスグリコの販売用の箱(リフレッシュボックス)。江崎グリコの担当者が定期的に巡回して集金・商品補充をする
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オフィスグリコ推進部の相川昌也本部統括マネージャー
オフィスグリコ推進部の相川昌也本部統括マネージャー
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 江崎グリコのオフィス向け菓子直販事業「オフィスグリコ」は2009年10月1日から、米菓、飲料などの食品メーカーからの仕入れ(荷受け)作業を効率化する業務改革を実施した。不況下で売り上げの伸びが鈍化しているため、仕入れ関連の作業を短縮し、新規開拓の営業に使える業務時間を増やす狙いがある。

 オフィスグリコは、菓子を詰めた「リフレッシュボックス」を顧客のオフィスに設置し、利用者に1個取るごとに100円を入れてもらうというサービス。リフレッシュボックスに入れる主な商品は自社製品の「ポッキー」や「ビスコ」などだが、自社では手薄な米菓、飲料などは他の食品・飲料メーカー約30社から商品を仕入れて同ボックスに入れている。

 同事業は首都圏・関西圏・中京圏など大都市中心部のオフィス街で56の「販売センター」を設置している。パート社員を含めて10~14人が勤務する同センターの主な業務は、リフレッシュボックスへの商品補充や代金回収のほか、新規の顧客開拓、ほかの食品・飲料メーカーからの荷受け作業などだ。

 従来は、個々のセンターで約30社から直接荷受けしていたので、1日当たり6回前後もの荷受け作業が発生していた。そこで今回の業務改革はまず関西圏で、19センターの仕入れ分をまとめて荷受けする共同配送拠点を、大阪府枚方市に設置した。共同配送拠点が荷受けした商品は小分けして各センターに運ぶ。こうすることで、個々のセンター側の荷受け作業は1日2回と従来の3分の1になるという。荷受けにかかっていた時間は、新規開拓のための営業活動などに回せるようになる。経営効果や運営体制を実地検証したうえで、東京など他地域にも展開する予定だ。

 オフィスグリコは2002年にサービスを開始し、売上高は2008年3月期の30億円、2009年3月期の37億円と順調に成長してきた(関連記事)。今期(2010年3月期)の月次売上高も増収基調だが伸びは鈍化しているという。オフィスグリコ推進部の相川昌也本部統括マネージャーによれば、移転や統廃合など、オフィス数が減る逆風を受けている。「リーマンショック後の不況で、客先のオフィス移転や統廃合が前年の2倍以上に急増した。その分、新規開拓営業が重要になる」(相川マネージャー)。販売センター長らの外回りの営業時間を増やせる今回の施策の意味は大きい。