ワタミ人材開発グループ環境マネジメント課の高橋雅彦氏
ワタミ人材開発グループ環境マネジメント課の高橋雅彦氏
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 ワタミの外食事業会社であるワタミフードサービス(東京都大田区)は、居酒屋「和民」などの約300店舗の店長に、電力消費量に対する意識調査を10月中にも開始する。同社では、各店舗がどのくらい無駄な電力を使用しているのかを示したレポートを週次で配布している。今回の調査は、このレポートを店長が普段の節電活動でどのくらい活用しているかをヒアリングするもの。調査を通じて「店長の節電への意識を徹底し、従来以上の省エネルギーとコスト削減を促す」(ワタミ人材開発グループ環境マネジメント課の高橋雅彦氏)狙いである。

 ワタミグループは2004年から、店舗の使用電力のうち必要なものと無駄なものとを定義し、後者を削減する活動に取り組んできた。例えば清掃や開店準備などの作業を除いた営業時間外に点灯させていた電力や、営業時間内であっても必要以上の空調を設定していた場合などが無駄な使用電力に相当する。

 このように定義したうえで、店舗の使用電力を計測する装置を取り付けるなどして、時間帯ごとの電力消費量を把握。無駄な電力を使用した時間帯が一目で分かるレポートを店舗ごとに週次で発行し、現場に改善を促してきた。一連の活動により、活動前の2003年度との比較で年平均12%、毎年1億5000万円前後のコスト削減効果を上げてきた。

 一方で、活動開始から5年が経過し、現場のマンネリ化に注意する必要が出てきた。2008年度のコスト削減金額効果は1億4500万円と、取り組み開始以来初めて前年度(同1億6500万円)を下回ってしまった。

 そこで今回、週次レポートの活用状況を店長にヒアリングし、レポートを生かした節電の施策でPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回す重要性をあらためて意識づけることにした。無駄な使用電力が多い店舗には担当者が直接出向き、無駄な使用電力が特に多い時間帯にどのような問題があるのかを調べ、解決策を提案し、実行してもらうことで全体の底上げを図る。