ヤマハPA・DMI事業部豊岡生産部の社員。写真中央が鈴木利朗生産課課長
ヤマハPA・DMI事業部豊岡生産部の社員。写真中央が鈴木利朗生産課課長
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 電子楽器製造を手がけるヤマハのPA・DMI事業部豊岡生産部(静岡県磐田市)は2009年9月7日、電子ピアノやエレクトーンなど向けの鍵盤の仕掛かり在庫の削減と、生産リードタイムの短縮に取り組む改善作業を開始した。従来、別々な階で行っていた鍵盤製造工程と、後工程の組み立て工程を同期化する。1日当たり約300万円発生している鍵盤の仕掛かり在庫を「なるべく早期に半減し、2010年中には4分の1まで減らしたい」(鈴木利朗PA・DMI事業部豊岡生産部生産課課長)と意気込んでいる。

 かつてPA・DMI事業部豊岡生産部では、鍵盤製造工程と組み立て工程とを別々の階で行っていた。鍵盤の製造は2007年まではライン生産だったため、広大なスペースが必要だったからだ。だがその後、鍵盤をセル生産方式で作るようになりスペース節約と生産性改善が進んできた。

 2007年5月にセル生産方式に切り替えてからも、従来は鍵盤の工程から総組立工程の間には、1日当たり約300台の仕掛かり在庫が発生していた。鍵盤1本を約1万円として300万円に相当する金額である。別な階にある総組立工程へと鍵盤を運ぶのは重労働なので、総組立工程が要求する1日分の量をまとめて生産して、翌日までに受け渡していたのだ。

 今回は、工場内のレイアウトを見直し、鍵盤製造工程と組み立て工程を同一階で近接させた。鍵盤のセル生産体制が十分に安定してきたため、両工程の同期生産に取り組むことが可能になった。