ディーゼルエンジンを製造・販売する米カミンズが、ネットワーク経由でソフトウエアを利用するSaaS(サース=ソフトウエア・アズ・ア・サービス)形態で目標管理システムを導入し、世界のグループ社員2万人の目標設定や、進ちょく管理に活用している。2008年1月に導入した日本法人のカミンズ ジャパン(東京都大田区)では、四半期ごとの業績評価がスムーズになり、米本社が定めた業績目標と個人目標の連携が緊密になるなどの手応えを得ているという。

 同社では世界共通で定めた業績や業務の目標を、部門や個人の目標と連携させている。一般社員で10項目、管理職では30項目程度の目標を設定する。評価の軸は主に財務目標と顧客満足度(CS)、従業員満足度(ES)の3つ。財務目標では、売り上げや利益、シックスシグマ活動の成果などが評価項目になる。ESでは「教育機会を活用しているか」「職場のダイバーシティーを推進しているか」などを設定している。

 以前は「ロータス・ノーツ」をベースにしたクライアント・サーバー型の目標管理システムを運用していたが、「進ちょくの入力が集中する期末には処理速度が遅くなるなどの問題があった」(カミンズ ジャパンの國宗眞介人事総務部長)。今回の新システムでは、世界中から最大5000人が同時アクセス可能になっており、現場の不満を解消できた。さらに全社目標を個人の目標設定画面に簡単に自動転記できるようになったので、個人の個々の社員が目標設定を入力する作業時間が短縮され「四半期ごとの目標設定がスムーズに行われるようになった」(國宗部長)という。

 各社員が目標達成の進ちょく度をシステムに入力すると、上司は、部下個人ごとの達成度に加え、部門全体の達成状況をグラフなどで把握できる。進ちょくについて部下と面談し、必要があれば目標を再設定などしている。評価データは人事システムにフィードバックされ、給与やボーナスにも反映する。

 同社が導入した人事管理サービスは米サクセスファクターズ社が提供するSaaS。目標管理、業績管理、360度評価、従業員情報、分析レポートなどの機能を持つ。国内では2009年9月に人事コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパースHRS(東京都千代田区)と販売強化のため提携した。