第8回ZΣ大会の様子
第8回ZΣ大会の様子
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 日本ゼオンは2009年9月8~9日の2日間、社内のコスト削減活動「ZΣ(ゼットシグマ)運動」の優秀事例発表会「第8回ZΣ大会」を川崎工場(川崎市)で開催した。全国各地の工場や関連会社などから選ばれた19活動の代表者が発表し、古河直純代表取締役社長など役員を含む約150人の出席者が耳を傾けた。

 発表会の主な目的は、改善活動の成果をたたえて現場の意欲を高めることと、工場間で成果を共有して横展開を促進することだ。さらに間接部門の地道な活動にも光を当てることで、文字通り全社一丸となってZΣ運動に取り組む意欲を高めることも狙っている。

 発表の内容は、製造部門での工程ロス削減から、川崎工場の総務人事部門による「社員証の忘れ防止大作戦」まで様々。いずれの事例も、問題の原因をなぜなぜ分析や特性要因図を駆使して突き止め、対策を導き出し、PDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを確実に回すことで成果を上げていた。また、どの活動も同社のZΣ推進室が策定した基準に従って、コスト削減効果を具体的な金額で明示していた。

 社員証の忘れ防止大作戦を例に取ると、社屋への入館時に社員証をどこかに忘れてきてしまう原因を特性要因図で複数書き出し、それぞれの対策を検討。この検討には総務人事部門のメンバーに加えて、社員証を工場入り口でチェックする警備会社の担当者も参加してもらった。検討を通じて、社員に気づきを促す大型看板を設置するなどの対策を打ち出した。その結果、2008年3月に延べ入館数に対して1.9%あった社員証忘れが、2009年1月には0.5%まで減った。一連の対策により、社員証忘れに伴う事務処理作業を削減できる効果(主に人件費)は年間18万円相当と見積もっている。

 発表の合間には、別の工場の担当者からの質問や意見交換が活発に行われた。高岡工場(富山県高岡市)の設備管理部門の「マシンズサークル」がセメント移送ポンプに関する改善事例を発表した時には、他工場にも応用しやすい内容だったため、古河社長が自らマイクを取って広く採用を呼びかける一幕も見られた。