三井金属スタッフサービス株式会社物流改善部の松田宏経部長代理(左)と山本龍也副部長(中央)、三井金属鉱業技術統括本部管理技術部の技術統括本部管理技術部の小松禎之部長補佐(右)
三井金属スタッフサービス株式会社物流改善部の松田宏経部長代理(左)と山本龍也副部長(中央)、三井金属鉱業技術統括本部管理技術部の技術統括本部管理技術部の小松禎之部長補佐(右)
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 三井金属鉱業は1年がかりの「全社物流改善プロジェクト」の活動を通じて、数億円のコスト削減に成功した。活動を始めたのは2008年4月。調達費削減、設備投資削減など4つある全社横断的プロジェクトの中の1つだった。

 全社物流改善プロジェクトには、常務執行役員が責任者を務めて、各事業本部から営業や出荷などを担当する部長クラスが参加した。20年前以上から各事業部の物流改善を指導している、三井金属スタッフサービス(東京都品川区)の物流改善部も加わった。

 事務局として運営に携わった、技術統括本部管理技術部の小松禎之部長補佐は「各現場では従来も物流改善に取り組んでいたが、部分最適に過ぎなかった。今回は全体最適の視点に立った初めての取り組みだ」と説明する。

 同社のそれぞれの事業部は、自動車関連メーカーなどのジャスト・イン・タイム(JIT)方式に対応するため、顧客の工場近くに倉庫を借りて資材を保管している。だが、個々の事業部が同じ地域で別々に倉庫を確保してしまう無駄があった。互いにほかの部の倉庫の所在を把握していなかったためだ。

 そこでプロジェクトメンバーは各事業部が持つ倉庫を日本地図上に書き入れて「見える化」。事業部間の余分な倉庫を割り出して、共同利用を進め、100以上あった倉庫を1割以上減らした。輸送業者との契約内容などについても情報交換するようにした。

 4つの全社プロジェクトのうち3つは2009年3月に終了したが、物流改善だけはその後も活動を続けている。三井金属スタッフサービス物流改善部の松田宏経部長代理は「2008年後半から生産量が落ちたので成果は出にくかった。本来なら倍以上のコスト削減効果が生まれたはず」と語る。