昭和電工でアンモニアや化粧品原料などを製造する川崎事業所(川崎市)が、製造部門の作業改善に取り組む小集団に、設備や生産技術などの支援部門の担当者を加えて構成する部門横断型の問題解決組織「F(フォーカス)チーム」を編成し、問題解決のための活動に力を入れている。チームごとに2008年に起こった各種のトラブルを精査し、重要度などに応じて独自の数値目標を設定。この数値を2年間で3分の1以下にすることを目標に掲げている。

 Fチームは2009年4~6月にかけて組織化した。製造部門の作業分野ごとに小規模なFチームは4~5人、大がかりなFチームは十数人で構成し、事業所全体で800人弱が参加する。同チームを通じて、製造部門のメンバーだけでは解決が難しいトラブルに対処したり、1つのチームが作り上げた課題解決策を横展開しやすくしたりする仕組み作りに取り組んでいる。活動の成果は半年ごとにチェックすることとし、現在の活動は9月末に見極める計画だ。

 川崎事業所は、災害や品質不良、設備故障などによるロスの防止を目指すTPM(全員参加の生産保全)活動に1998年から取り組み、年間数億~数十億円のコスト削減などの成果を上げてきた。最近になって活動のレベルを引き上げるにはどうすべきかを検討する過程で、「横展開すべき優れた改善活動が小集団内でとどまっていたり、以前に取り組んだ課題へのフォローが疎かになったりといった状態が見受けられることに気づいた」(片村浩一・化学品事業部門川崎事業所製造部次長)。

 こうして同事業所は2009年3月にTPM活動を刷新し、「KSG(川崎超現場力)活動」と名付け、目標を設定し直した。具体的には、作業トラブルや設備トラブルなど、ものづくりに関連するあらゆるトラブルをゼロにする「トラブルゼロ」を2009年から2010年にかけて達成するというものだ。目標を達成するには、稼働させている設備の構造を詳細まで理解し、その構造に合わせて現場の作業を見直さないと解決できないトラブルにも対処する必要がある。製造部門内の小集団が単独でそこまで対処するのは難しく、他部門の協力が欠かせない。そこで小集団をFチームに“進化”させたのである。