結婚情報紹介サービス大手のツヴァイが提供する、年間100万円を超える高額なお見合いサービス「クラブセンチュリアン」が人気を集めている。2008年12月にサービスを開始したところ、同社のホームページ以外では会員募集の告知をしていないにもかかわらず、入会者は9カ月後の2009年8月までに50人を超えた。2010月2月までには目標の120人をクリアできそうな勢いといい、会員数は順調に伸びているという。既に会員との婚約の報告とともに退会した会員も出始めている。

 クラブセンチュリアンは、同コースの専属担当者「マリッジコンシェルジュ」が会員本人と打ち合わせを重ねて、会員の要望に合った異性をツヴァイ会員全体の中から探し出してくれる。その相手候補とはマリッジコンシェルジュが事前に面談し、本人から承諾が得られれば、クラブセンチュリアン会員に紹介するという仕組みだ。

 マリッジコンシェルジュは、初めて2人が会う際に両者のスケジュールを調整して待ち合わせの時間や場所を設定し、立ち会いまでする。会ったその日のうちに、本人たちにお互いの印象を聞いたり、双方の連絡先を聞き忘れていないかなどの確認をしたりしてくれる。そこから交際が始まって、順調に進めば、プロポーズのタイミングまでアドバイスするなど細かなフォローを続ける。

 ツヴァイが提供する通常の結婚情報紹介コースでは、会員には毎月2回ほど相手の紹介書が届く。それを見て、気になる相手がいたら、最寄りのツヴァイの拠点に出向き、拠点にしかない専用端末で相手の写真を見る。そこで気に入ったら、その旨をコーディネーターに告げ、相手から承諾を得られたら、実際にツヴァイの拠点で後日2人で会うことになる。こうした通常コースは、1カ月に紹介される人数などに応じて、21のメニューに分かれている。従来、最も高額なコースでも年間45万円だったが、クラブセンチュリアンはその2倍以上の年間103万8000円の料金設定になっている。しかも、入会資格は首都圏に住む男女に限定し、男性は年収1000万円以上を求められる。

 クラブセンチュリアンはマリッジコンシェルジュが一度に10人強の会員しか担当しない。そのため、入会希望者が急増した2009年4月ごろには一度、入会希望者の順番待ち状態になったほどだ。

 100万円を超える価格設定には「わざと高額に見せる」(池田晃専務取締役)工夫がしてある。まず、支払いは一括払いしか認めない。すなわち、1回10万円の10回払いといった分割払いはできない。

 ほかのコースと違って、最初から103万8000円の費用の中には、交際、婚約、結婚に対する「成功報酬」分まで含まれている。仮に結婚に至らなければ、その分は1年後の退会時に会員に返金されるので、実際のサービス価格自体は額面よりも安いといえる。途中退会する場合でも、103万8000円にあらかじめ含まれている月会費や「出会いのセッティング料」の未利用分は返金される。

 手厚いサポートサービスを提供するためには、ツヴァイは相応の人材を配置しなければならない。そのため、同社は業務改革を進める必要もあった。クラブセンチュリアンの開設直前の2008年11月には、通常コースでの紹介相手のプロフィール提供を従来の郵送から電子メールに切り替えた。会員がパソコンや携帯電話で自身の活動状況を確認したり、パーティーなどのサービスを申し込んだりできるようにもした。ツヴァイの会員全体に毎月紹介書を送ったり、各種イベントへの申し込みを電話対応していたりした業務を削減できたことで、クラブセンチュリアンに人員を当てることができた。コスト削減効果は、印刷や郵送代など年間5000万円に及ぶ。池田専務取締役は「業務コストを削減できた分、人を介した高品質なサービスの比率を高めていく」と話す。