写真●クロスファンクショナルチームで問題解決に当たる「品質トラブル未然防止プロジェクト」の議論の様子
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 無添加化粧品を製造・販売するファンケルは、化粧品工場での「新鮮つくりたて」体制の強化とコスト削減の両立を進めている。製造子会社であるファンケル美健(横浜市)は2009年度、生産体制や品質保証体制の強化や原価低減など5つの目標を掲げた。長期保存できない無添加化粧品を作り立てに近い状態で素早く出荷していく体制を、ローコストで運営できるようにする。

 ファンケル美健が2009年度に掲げた年間目標は、(1)生産体制強化、(2)品質保証の強化による安心・安全の維持向上、(3)コストダウン目標を達成して原価低減に寄与、(4)明るく楽しく働きがいのある企業風土作り、(5)地球に優しく地域社会に共感される企業、の5つだ。この全社目標に対し、化粧品や健康食品(サプリメント)を生産する主力3工場が独自の目標やプロジェクト、委員会などを用意して対応している。

 例えば、無添加化粧品を生産する千葉工場(千葉県流山市)は、鮮度向上とコスト削減、作業ミスの撲滅をテーマに掲げた。

 鮮度向上とコスト削減は、2009年4月に新設した「工程効率向上委員会」が中心になって進めている。ファンケルが以前から継続してきた無添加化粧品の「新鮮つくりたてプロジェクト」を進化させながら、生産コストも引き下げる。工程効率向上委員会の最大のミッションは、千葉工場内に複数ある生産ラインのそれぞれのキャパシティーや生産できる品目の違いを見ながら、できるだけ小さいロットで多品種の商品を作り、市場での売れ行きに合わせて新鮮な化粧品を小刻みに出荷していくことだ。

 同時に2009年度のコスト削減としては、生産ラインの工程改善で3000万円の低減を計画。2009年度上期は化粧品を入れる容器の検査工程の見直しを検討している。

 もう1つ、千葉工場が掲げたのが工程内での作業ミスの再発防止体制の構築だ。2008年12月に生産作業中のヒューマンエラーが2件続くトラブルがあり、作業品質の低下に危機感を強めた秋谷昌仁千葉工場長は、新年度が始まる2009年4月に「品質トラブル未然防止プロジェクト」を立ち上げた。工場内から間接部門を含む全部門の代表者を一堂に集め、クロスファンクショナルチームで生産工程でのヒューマンエラーの撲滅や作業ルールの再検証と徹底について議論し始めている。パレート分析や特性要因図といったQC(品質管理)サークルの7つ道具を用い、同一原因による作業ミスの再発を半減。結果的に自責損失を半減させることを目指している。