写真●加盟店からの出席者で満員の、ぐるなび大学の様子
写真●加盟店からの出席者で満員の、ぐるなび大学の様子
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 飲食店検索サイトを運営するぐるなびが、2009年度(2010年3月期)から加盟店の経営者や店長を主対象に経営講座を開講して好評を得ている。1回当たり20~30人の受講者を募集しているが、開講以来どの回も満員続きだという。2009年7月までの数カ月間で、既に1000人以上が新コースに参加した。

 従来も教育機関「ぐるなび大学」で講座を開いていたが、その内容は自店の紹介ページ作りや、目を引くキャッチコピーの付け方など、店舗ページのノウハウ指南にとどまっていた。これに加えて2009年度からは、飲食店の経営そのものを支援する内容をそろえた。飲食店経営には欠かせない接客やメニュー開発、人材育成、クレーム対応、計数管理などの新コースを提供している。これに併せて講師も強化。従来のぐるなび大学で講師を務めてきた25人の社員に加えて、今回導入した新コースでは外部からテーマごとに専門の講師を招いている。

 ぐるなびはこの不況をものともせずに、2008年度の売上高が前期比28.3%増の200億円、経常利益が同45.3%増の39億円と好調だった。「飲食店経営全般の支援にも積極的に関与して、加盟店とのきずなを深めた努力が業績にも表れている」(香月壯一常務取締役営業本部長兼総合政策室担当)とぐるなび大学の重要性を語る。同年度は2万7000人がぐるなび大学を受講したという。

チーム営業とパート社員活用による加盟店の巡回強化も関係強化に奏功

 香月常務は、ぐるなび大学だけでなく、2007年度から導入した加盟店向けの「チーム営業」が前期の増収増益を支えた要因であるとし、その陣容を今回の取材で詳細に語った。

 2007年以前の同社の営業担当者は、加盟店の新規開拓担当と、契約後のフォロー担当の二手に分かれ、個人単位で営業活動をした。だが企業規模の拡大に見合う営業人材の確保や、営業担当者間の情報の引き継ぎに課題が生じた。そこで2007年からは7人以上で1チームを組むチーム営業体制を採った。人事評価上も、1チーム単位もしくはチーム内の3人1組のユニット単位で「個人ではなく、チームおよびユニットでの営業プロセスの遂行力と受注目標の達成度を評価している」(香月常務)という。

 2009年7月現在、チーム数は全国で40あり、合計で400人強の営業担当者が日夜、約1万5000店ある「販促正会員」店舗(年間60万円以上かつ12カ月以上の契約を結んでいる店舗)を巡回している。

 チーム営業に移行したのと同時期に、新たに「営業プロセス管理システム」も導入した。加盟店との日々のコンタクト履歴を入力してもらい、正しい営業プロセスの徹底を図るためだ。

 その一方で、社員の営業担当者とは別に、加盟店を回るパート社員もグループ会社を通じて確保した。2009年7月末時点で全国に270人のパート社員がおり、週に1~2回の頻度で約1万5000の販促正会員店舗を回る。1人当たり平均40~50カ所の加盟店を担当する社員の営業担当者だけでは、これほどの頻度での巡回は難しい。パート社員たちは営業活動はしない。営業担当者と加盟店の間のパイプ役として、ぐるなびからの情報提供と加盟店が抱える悩みの吸い上げに徹する。パート社員たちは日々のコンタクト履歴を営業プロセス管理システムに入力して営業担当者に伝えているほか、毎月1度は営業担当者と会って話し合う。

 このほか、加盟店からの問い合わせ対応や、非加盟店からの新規契約の問い合わせに対応するコールセンターに2009年7月時点で100人を配置しているほか、加盟店向けの会報誌「ぐるなび通信」を毎月15万部発行している。