オリエントコーポレーション(オリコ)は個品割賦における「学費」「住宅リフォーム」「家賃保証」の取り扱いを拡大している。2007年3月期では3分野の割合は合わせて36%だったが、2009年3月期には52%まで伸ばした。2010年3月期第1四半期(2009年4~6月)は、家賃保証の取扱高こそ前年同期比97%だったものの、学費は同111%、住宅リフォームは同151%と伸ばしている。個品割賦とは、高額商品を購入する際に個別に分割払い契約を結ぶ仕組みである。

 同社は「新重点分野」と位置づける前述の3分野を開拓するために、人的リソースの配置転換を進めてきた。2007年3月時点で全国に営業拠点は128、事務拠点は84あったが、2009年3月にはそれぞれ74、43まで減らした。「地域オリコ」と呼ばれる地方の営業専門子会社や、パート社員の営業部隊である「パートナーオリコ」を積極的に活用することによって、正社員の営業担当者をより提案力が求められる業務や新分野に配置できたのである。

 正社員が担っていた業務を振り分ける上で不可欠だったのは、情報システムの活用と業務改善だ。2006年6月に全社に営業支援システム「OBF(オリコビジネスフォーメーション)」を展開した。OBFはソフトブレーンの「eセールスマネージャー」を基に構築。

 営業推進グループ営業企画部の前田公輔部長は「良い人材を採用してもきっちり教育しないと仕事の楽しさが分かってもらえない」と話す。OBF上では担当者と上司がスケジュールを共有したり、日々の業務について相談したりする。「単なる行動管理ではなくコーチングの場になっている」(前田部長)。2009年6月には事務や与信などの業務を集約した部署、CRCにも同システムを導入した。

 また、2006年に「オリコアシストプラン」という加盟店からの契約書の回収をヤマト運輸に委託する仕組みも取り入れた。営業担当者は個品割賦の契約が発生する度に契約書を受け取りに向かっていた手間を省けた。「契約が発生するタイミングはバラバラだし、加盟店は契約したらすぐに書類をオリコ側に預けたい。飲料業界のルートセールスのようにまとめて回るのは難しかった」(前田部長)。導入により年間数十万件に及ぶ回収業務から担当者を解放できた。一連の営業業務改善によって2009年3月期までの2年間で61億円の人件費削減につながった。