写真●オイシックスは、独自の基準で栽培した有機野菜などの商品を農家から買い付け、宅配便で顧客に届けるビジネスモデルで急成長。定期購入だけでなく、必要な時だけ購入することも可能だ。
写真●オイシックスは、独自の基準で栽培した有機野菜などの商品を農家から買い付け、宅配便で顧客に届けるビジネスモデルで急成長。定期購入だけでなく、必要な時だけ購入することも可能だ。
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 食品通信販売のオイシックス(東京都品川区)は、2009年1月から納品物流の集約に取り組み始めた。同社が手配したトラックが仕入先の農家を巡回して商品を集品する。従来は農家が個別に同社の配送センターに商品を納入していた。集約によって物流を効率化し、コストを2~3割削減する。

 同社は全国1000軒以上の農家と契約して、同社の特別栽培基準で栽培した野菜などの商品を調達し、定期購入する3万4000人の顧客や、都度購入する40万人の顧客に配送している。調達した商品は、神奈川県海老名市の配送センターで顧客ごとに仕分けして宅配便で配送する。従来は、各契約農家が自分のトラックや物流会社を利用して配送センターに納品し、その費用も含めて販売価格(オイシックスにとっては仕入れ価格)を設定していた。

 これに対し、現在納品物流集約の対象となっている20~30品目については、オイシックスが仕立てたトラックが複数の契約農家を巡回して商品を集めている。これによって、オイシックスの配送センターへの納品回数は従来の10分の1に低減できた。農家は物流コストをオイシックスに転嫁できるので、仕入れ価格からその分を差し引く。その結果、オイシックスにとっては物流コストが増加するものの、仕入れ価格を2~3割削減する効果が生まれている。

 仕入れ価格削減効果は販売価格に反映させる。納品物流集約化によって仕入れ価格を低減したトマトは、1パック298円から198円へと値下げした。高品質や安全性、利便性を武器に急成長してきた同社だが、不況による消費者の節約志向に対応して、値下げも推進していく。納品物流集約化によって1品当たりの物流コストを削減できるため、従来は扱っても利益が出にくかった低価格商品の扱いも拡大していく。

 納品物流集約化を推進するうえでは、トラックのルート設定や集品スケジュールなどを農家と合意していく必要がある。現在取り組み中の20~30品目での効果を測りながら、徐々に拡大していく方針だ。