写真●2009年2月に誕生したユニーの新しいブランド「ピアゴ」の岩倉店
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 総合スーパーのユニーは2009年2月に既存店の名称を変更して新たに立ち上げた新ブランド「ピアゴ」で、トヨタ流の改善活動を推進している。最初に改善のモデル店に選んだピアゴ岩倉店(愛知県岩倉市、旧ユニー岩倉店)では改善の結果、2009年度に電気代を5%削減できる見通しだ。顧客からの苦情件数については2009年3~5月の第1四半期の実績で、既に前年同期比で22%減らすことができた。岩倉店での成功を受け、ユニーは2009年度中に、128カ所にあるピアゴ全店にトヨタ流の改善を横展開していく計画だ。

 ピアゴ岩倉店は2008年春から、佐藤嘉洋店長を中心にトヨタ流の改善を進めてきた。2008年に発足した本社の改善部が手法を伝授し、トヨタ流の基本である2S(整理・整頓)や、売り場とバックルームでの作業改善、たばこなどの在庫管理の徹底を1年間続けてきた。これまでに合計72件の改善案が出て、合計すると年間2100時間の作業時間を削減できる見込みになった。

 こうして余裕が生じた時間は約60人いる店員向けの勉強会に毎週30分ほど使い、衣料品のお直しといった加工技術の修得機会に充てている。佐藤店長は「店員が1人2役以上に働けるように多能工として育成したり、サービス品質を向上したりする時間として有効活用している」と話す。

 ピアゴ岩倉店が導入して効果を上げているのが、水道・光熱費といった経費の推移を示す「経費ボード」や、顧客からのクレームが起きた売り場の場所と件数を示す「お客様の声ボード」である。これらのボードを店員が出入りする事務所の入り口付近に掲示し、「見落としがちな経費や苦情の見える化で店員の意識を高めた」(佐藤店長)。

 特にクレームは、発生するたびに売り場を示すレイアウト用紙に色シールを張っていくルールにしたので、いやでも店員の目に付く。自然と店員の意識が高まって、苦情件数はこの1年で目に見えて減った。

 ボードの設置効果が如実に表れたのが水道代の削減だ。経費ボードを置いて毎月の水道代をチェックするようになると、店舗環境は変わっていないのに毎月少しずつ水道代が上昇していることが判明した。「何かがおかしい」と気づき、水道の使用量や配管を調べたところ、2008年11月に水漏れを発見。水漏れを修理せずにそのまま放置していたら、年間180万円の損失が出ていた計算になるという。一方、毎月の電気代も見える化し、こまめに照明を消すなどの節約を心がけることで5%の削減を見込んでいる。