写真●東京都立川市にある駐車場「タイムズ高松駅前」。<br>モノレール駅に隣接
写真●東京都立川市にある駐車場「タイムズ高松駅前」。
モノレール駅に隣接
[画像のクリックで拡大表示]

 コインパーキング最大手のパーク24が、自家用車と公共交通機関を乗り継ぐパーク&ライドで新展開を始めた。従来型の「自宅近くのパーク&ライド」ではなく、「目的地近くのパーク&ライド」利用を促すものだ。第1弾として2009年7月1日、東京都立川市に収容台数152台の大型駐車場「タイムズ高松駅前」を開設した。

 立川は百貨店や映画館、オフィスビルが建ち並ぶ東京都西部随一の商業集積地だ。中心街に駐車場は少なく、周辺道路は慢性的に渋滞している。タイムズ高松駅前から立川の中心街まで1kmほど離れているが、多摩都市モノレール「高松駅」からモノレールに乗れば1駅3分で行ける。

 そこで、タイムズ高松駅前とモノレールを両方利用すれば、200円引きの「パーク&ライド優待料金」を提供するようにしている。駐車場から出庫する時にICカード乗車券PASMO(パスモ)を読み取って、モノレール乗車履歴がある場合に優待料金を適用する仕組みだ。

 パーク24は同様の仕組みのパーク&ライド割引を2008年4月に始め、郊外住宅地の駅に近い33カ所の駐車場で実施してきた。さらに、2008年秋に利用者5000人に対するネット調査を実施してパーク&ライドの利用動機を調べたところ、目的地近くでも時間短縮効果が見込まれるなら、車から公共交通機関への乗り換えを許容する層が一定数いることが分かった。

 中心街への自動車乗り入れに時間がかかる立川はまさにこのニーズを掘り起こすのに適切な場所だった。パーク24にとって、中心街から1駅離れるだけで、まとまった駐車場用地を格安の賃料で確保しやすくなるメリットがある。

 7月1日に開業したばかりのタイムズ高松駅前は、土日は満車に近いが、平日の通勤需要などに掘り起こしの余地がある。「この1年間の実績を踏まえると、駐車場を新設してから利用者のパーク&ライドの習慣が定着して利用率が安定するまで1~2カ月かかる」(事業企画本部事業推進部技術開発グループの岩渕泰治グループマネージャー)

 そこで潜在顧客にパーク&ライド利用を促すために、メールマガジンによるマーケティングを実施する。パーク24はポイントカード「タイムズクラブ」を約250万枚発行。うち約40万人がメールマガジンの配信に同意しており、細かな条件を設定してメール配信できる。「立川市周辺でかつモノレール沿線以外に住む人」「立川市周辺の別のタイムズ駐車場の利用履歴がある人」などに限定してメール配信を行い、パーク&ライド利用を促す方針だ。