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アサヒビール
「クールドラフト」ヒットの裏にペルソナあり

30代と40代の定番ユーザー像を作って感情移入

上木 貴博=日経情報ストラテジー 2009/07/15 日経情報ストラテジー
写真●発泡酒「クールドラフト」を持つアサヒビール酒類本部マーケティング本部商品開発第一部の清水二郎エグゼクティブプロデューサー
[画像のクリックで拡大表示]

 「一番うまい発泡酒を、決めようじゃないか」。俳優の豊川悦司氏が登場するテレビコマーシャルが印象的なアサヒビールの発泡酒「アサヒ クールドラフト」の売り上げが好調だ。2009年3月発売開始から6月末までに296万箱(1箱大瓶20本)を販売した。年間700万箱という販売目標を容易に達成しそうな勢いだ。2009年1~6月累計で大手5社の発泡酒の売り上げ数量が前年同期比12.7%と落ち込むなか、アサヒビールはクールドラフトの健闘もあって同3.7%減に踏みとどまった。ヒット商品開発の裏側には定量的、定性的な調査から綿密に描き出した消費者像「ペルソナ」が存在していた。

 同社がクールドラフト開発に乗り出したのは2005年。発泡酒の市場は2002年をピークに縮小を続けていた。2003年に誕生した「第3のビール」成長のあおりを受けた格好だった。発泡酒市場では糖質オフ・ゼロなど健康志向を訴求した商品が人気を呼びシェアを高める一方で、定番系と呼ばれる商品は年々売り上げが落ち込んでいた。

 しかし、アサヒビールはあえて定番系発泡酒で基幹商品を作ることにした。消費者2000人へのインタビュー調査から、定番系の不振の背景には「自分たち向けの商品が最近出ていない」という意識があると知ったからだ。こうした思いを持つ消費者に感情移入するマーケティング手法としてペルソナを用いた。一般的にペルソナ活用の目的は、開発や営業、宣伝など異なる部門の担当者同士が同じ消費者像を共有することと、具体的な消費者像を作りこむことで担当者の想像力を喚起することである。今回は後者の効果を狙ってペルソナを商品開発に採用した。

愛飲者像は「44歳の自営業者」

 「急成長している市場向けの新商品にはペルソナは要らなかった。ファンが固定化された市場だからこそ有効だと思う」。商品開発にペルソナの手法を持ち込んだ、酒類本部マーケティング本部商品開発第一部の清水二郎エグゼクティブプロデューサーはこう話す。成長する市場には様々な新しい顧客が流入してくる。むしろ成長が鈍化してもなお愛飲者として残ってくれている消費者を深く理解した方が有益というのだ。

 定量的なデータを分析した結果、愛飲者のペルソナ作りは30代後半以上の男性に絞り込んだ。子どもがいたり、毎週複数回発泡酒を飲んだりするという条件を満たす10人と個別にインタビューをした。通常は商品を飲んでもらった感想などのインタビューが中心になるが、この時は「その人の人生について聞いた。目標やライフスタイルなど半分はビールに直接関係ない質問を投げかけた」(清水氏)。

 インタビューの記録は定性的な情報としてペルソナを形作る材料になる。共通項を足し合わせる形で4人分の記録から40代男性のペルソナを、残り6人分からは30代のペルソナを作り上げた。前者は「年収900万円の44歳の自営業者で、家族は1歳下の妻と長男16歳、長女13歳の4人家族で都内在住」といった具合だ。基本的な属性から性格や価値観といった内面までを一枚の紙にまとめた。こうして作ったペルソナからは冷たさへのこだわりなど開発の参考になる点がうかがえたという。結果的に冷えた発泡酒をイメージさせる商品名とパッケージに結びついた。

 アサヒビールは2007年9月から複数のブランドマネジャーを競わせて担当者を選出するコンペ制度を導入している。勝者がパッケージやネーミングを決定権を握る。敗れた社員はサポートに回る。今回は候補者の3人全員が清水氏と一緒にペルソナを作った後で、クールドラフトのコンペに参加した。「3人とも頭ではなく心で消費者を理解できたはず」と清水氏は語る。

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