体組成計大手のタニタ(東京都板橋区)は7月13日、ICカード社員証を応用して、社内の印刷関連業務を認証・管理する仕組みを導入した。複合機が搭載するICカード読み取り機に社員証をかざして認証を受けないと、印刷物を出力できないようにした。印刷物の放置による情報漏えいリスクを無くすことと、無駄な印刷を減らしてコストを削減することを狙っている。

 同社では従来、複数のメーカーのコピー機やプリンター、ファクスが社内に混在していた。リース費用がかさんでいただけでなく、「あるプリンターのトナーを交換しようと思ったら、そのプリンター用トナーの在庫が切れていて、業務時間を浪費するなどの弊害も出ていた」(タニタの谷田千里代表取締役社長)。社員がパソコンから文書を印刷したことを忘れ、出力された印刷物を複合機に放置するような状況も散見された。こうした取り忘れが機密性の高い文書で発生すると、情報漏えいにつながる恐れもある。

 これらの課題を同時に克服する方法として、認証機能を備えた複合機を導入することを総務部人事課の水品昌之氏が提案した。

 今回導入した複合機は、社員がパソコンで文書の印刷を指示するだけでなく、自身の社員証を複合機の読み取り機にかざしたとき初めて印刷物を出力する。これにより、出力した文書を放置するような事態を無くした。また、出張時には出張先の拠点の複合機を出力先に指定できる。必要な時に現地で印刷できるようにすることで、移動中に重要書類を紛失するなどのトラブルも未然に防げるわけだ。

 さらに今回の仕組みによって、誰が、いつ、何の文書を何枚出力したかなどを把握できるようになった。タニタはこれを生かして、無駄な印刷を減らすコスト削減の効果も期待している。印刷枚数が明らかに多い社員や部門に事情を確認し、注意を呼びかけるといった方法を検討している。ある程度の運用期間を経て各部署の標準的な印刷量を把握できた際には、モノクロに比べて印刷コストが高いカラー印刷の出力枚数を一定量に抑えるなどの運用ポリシーを定める考えだ。