INAXは「標準会議システム」をIT(情報技術)を使って開発し、2009年春から経営会議で活用を始めた。議案提出などの事前準備から議事録配布に至る会議の運営プロセスを支援する。討議に必要な情報を事前に漏れなく収集して会議の進行を効率化し、議決事項を迅速に全社で共有できるようにする。全社の様々な会議にも同システムを活用し、会議プロセスの標準化と効率化を進めていく予定。

 標準会議システムは、月2回開催される経営会議に議案を提出する部門と、会議の事務局や関係部門が情報を交換し、会議準備の進捗を管理する基盤となる。議案提出部門が標準会議システムにアクセスして、「申し込みフォーム」に会議の概要を登録すると、審議日程が通知される。経営会議の事務局を務める経営管理部門や、経理など関係部門が登録情報を確認して、修正指示などを出すなどのやり取りをシステム上で行うと、アジェンダ(議事進行表)が自動作成される。

写真1●<br>議案の提出者は、事前に「申し込みフォーム」に議案の概略を登録する。
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議案の提出者は、事前に「申し込みフォーム」に議案の概略を登録する。
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写真2●<br>申し込みフォームの内容を事務局や経理部門などが確認したうえで、アジェンダが自動作成される(写真1,2ともデータはダミー)
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申し込みフォームの内容を事務局や経理部門などが確認したうえで、アジェンダが自動作成される(写真1,2ともデータはダミー)
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 INAXのCIO(情報最高責任者)であり、このシステムを企画した坪井祐司取締役上席執行役員は、「従来は、議案を提出したい部門の長や担当者が、事務局とメールや電話などでやり取りして準備を進めていたが、議案の提出期限などのルールを徹底できず、経営会議までに資料などを十分に準備できないなどの課題があった」と話す。事前準備の段階で議案の複雑さを判断し、経営委員に事前に説明することで、経営会議当日の討議をスムーズに進めていく。会議の議事録を事務局で作成し、経営委員が確認してイントラネットに掲載するまでのプロセスもシステムで管理し、決議事項を全社で迅速に共有できるよう支援する。

 今後は経営会議に続き、部長会など各部門での会議にも、標準会議システムを導入して効率化を図っていく予定。進行手順は会議の内容によってカスタマイズするが、アジェンダや議事録の作成を徹底し、会議や情報共有の効率を上げていく。