アデランスホールディングスは2009年5月末から、経営再建に向けた業務改善に注力し始めた。5月28日の株主総会での決議を受けて経営体制を刷新した直後に、渡部信男代表取締役社長の号令で若手社員を集めた「DIO(ディオ)」と呼ぶ経営改革チームを結成したのである。DIOは「Do It Ourselves」から名付けられた。「経営改革は自分たちで遂行する」という意志が込められている。

 DIOは経営陣が選んだ16のテーマに分かれて活動する。1つのテーマごとに、「パイロット」と呼ばれるリーダー役と5~10人のメンバーから成るプロジェクトチームが存在する。イントラネットでの公募やパイロットの推薦を経て参加が決まったのは、20代半ばから40代までの総勢70人だ。パイロット以外のメンバーには複数のテーマにまたがって参加する社員もいる。全員が現職に就いたままプロジェクトにかかわる。経営企画担当の山口敦史執行役員は、「おおまかなテーマは執行部で決めたが、あくまで現場社員に頑張ってもらう取り組み。16の区分けも参加者の意見をもとに柔軟に見直していく」と話す。

 DIOが取り組む経営テーマは、女性向け市場の活性化や人事、サプライチェーン、コスト削減、研究開発、ノンコア資産の売却など様々だ。例えば「顧客満足度の向上」チームは3~5年先の会社のあるべき姿を探る。パイロットを務めるアデランス東京営業部の高橋英樹次長は、「現場の意見をうまく吸い上げて改革につなげていく」と意気込む。テーマごとに提出される改善案は、担当の役員や執行役員が吟味して積極的に経営改革に取りこんでいくという。